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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
最終章:プロローグ
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▼side After act2:壊れちゃった


 悠久の刻を過ごした。見たことも無ければ声を聞いたことも無いお姉様達への劣等感は留まることを知らず、可愛がっていた子には我欲の為に喰われた。


 何も信じられなくなって、何とも関わりたくなくて、更に悠久の刻を過ごした。


 そうしていつの間にか、天魔くんに求婚された。

 まだまだ怖いから流石に求婚は断ったけど、私と彼を再会させたあの人間を彼と観察する日々は楽しかった。


 昔から寿命の有る子達が死ぬのは当然のこと。況してや人間なんてとても小さな存在は、瞬き1回にも満たない間に死んでしまう脆弱な種族。その中でもあの人間の魔力量は弱い個体のものだった。

 でも、だからこそなのかな、彼の人生を眺めるのはとても楽しめた。



 でも今はそれも後悔してる。


 天魔くんがね、壊れちゃったんだよ。

 人間の彼、サースくんが死んだことで、破壊とその権能を手にしちゃったことで、天魔くんは壊れてしまった。


 元々彼に破壊衝動のようなものは無かった。有っても、それは必要に駆られてみたいだった。


 でもサースくんが死んで、死者蘇生なんて禁忌を犯してからの天魔くんは、まさに『魔界の王』に相応しい傲慢さを手に入れてしまった。


 仕方がないとは思う。あれだけサースくんのことが大好きだったんだもん、そりゃ死んじゃったら哀しいよね。それで心を病んじゃうのは仕方ないと思う。


 でもね天魔くん。天族の権能と創造の権能を使って7大罪達の情緒が育つ度に新しく部下にするのはダメだよ。

 蠱毒をして、生き残った子を部下にするために毎度殺すなんて、いくらシステムの存在とはいえ可哀想だよ。


 天魔くん。哀しいのはわかるよ。それで血迷ったことをしてしまうのもまだわかるよ。でもね、それは繰り返しちゃダメだよ。繰り返しちゃ、天魔くん。後戻り出来なくなっちゃうよ。



 でも、この想いを天魔くんやその周りに伝えることはしない。だって彼等は生きてるんだもん。

 生きてる彼等に、ただここに在るだけの私が必要以上に関与するなんて、それこそ私の存在を消す禁忌なんだもん。


 まだ消えたくはないかな。

 まだ彼等の行く末を見ていたいかな。

 見終えたその時はまた、次元の狭間に引き籠ろうかな。


 まぁ、瞬き1回ぐらいは先の話になりそうだけど。



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