▼side After act1:魔王マクスウェルの追憶Ⅱ
気が変わった……というか、サー君との仲を深めようと思ったのは、彼が誰よりも強かったからだ。
いやまぁ、出会った頃のサー君は確かに俺規準だと弱かった。息吹き掛けたら死ぬんじゃないかって思うぐらいには弱かった。
でも心が強くて、その上折れない。
まぁこれだけならこれまでにも何人か居た。居たには居た。だけどサー君はそれまでの彼等とは違った。
実際に強くなるんだよ。確実に着実に、面白いぐらい強くなって行くんだよ。アレは見ていて楽しかった。しかも本人は自覚無かったけど、魔術なんて技術を産み出した。アレは凄い。
魔法は魔力って力を使って、使われる魔力に比例して思い通り現実に干渉する力だ。
一言で言えば魔力による力技で干渉してるってこと。
でもサー君の産み出した魔術は違う。少量の魔力で、規則を持たせることで現実に干渉する。云わば技術によって振るわれる術だ。
魔法も誰でも使える。だけど力技だから結局魔力依存になる。でもサー君の魔術は誰でも使える。アレなら術の組み方次第では魔力を使わなくても魔法に似た力を使える。それを産み出して、その上着実に俺に近付いて来る。
だからサー君の最大の弱点である魔力の少なさを補うために魔力回復速度を上げるように仕向けた。
だからサー君を鍛えることに本腰を入れた。そうしたら期待以上に強くなって行った。
その強くなって行く姿に、在り方に魅了された。だから彼と仲良くなることに注力した。正直アレのことを数ヶ月ぐらいは頭から抜けていたぐらいサー君以外見えてなかった。
だから、サー君が自分の死を受け入れて、それでも自分の目的のために戦うことを決めたから、それを受け入れた。
受け入れた、けど……、
「やっぱり哀しいよ、サー君……」
目の前には彼の遺体が在る。アレとアレに乗っ取られた奴の死体は無い。消したからね。
面白いことに、アレが完全に力を失った途端、俺は『破壊』の権能を得た。資格を失ったってことなんだろうけど、タイミングが良過ぎると思う。
でもそのおかげでアレの処理は簡単に出来た。世界的に見ればこれが1番良い結果なんだろうさ。
…………。
「いや、止めておこう。止めないと、ね……」
『創造』でサー君を生き返らせようかと一瞬頭を過った。でも、それは本当にサー君なのかと思って止めた。
こういう哀しみは、哀しみのままに動けば後々後悔することはアレのおかげで学べたからね。
サー君の書いていた日記を見る。それを読めば、サー君がどんな想いで過ごしていたかわかって、喜怒哀楽を楽しめる。




