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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
最終章:プロローグ
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耐久の第2段階


 今度はゆっくり、ラズマリアが知覚出来る速度で近付き、ラズマリアが俺を認識出来るように肩や二の腕、脇腹や胸元や腹を殴っていく。


 第1段階やこれまでのように彼女に知覚出来ない速度で動けば、彼女の怒りの矛先がこの空間全体に向かうかもしれない。そうなれば、つまり人界の危機だ。


 避けることも出来ない。今の彼女に俺を彼女より格上だと認識されれば、無差別に『破壊』が起こる可能性が有るから。


 防ぐ場合も同様。彼女が自棄にならないようにしながら、しっかり俺が彼女の攻撃で傷付かなければ彼女は力押しに頼ることになるから。


 俺自身も、彼女も、生かさず殺さずで時間を掛けなければならない。


 何せ彼女のこの暴走は、彼女が気を失うまで堪えるという籠城戦のようなものであり、彼女の備蓄が失くなるまで攻める攻城戦のような戦いなのだから。


 全力の身体強化状態で彼女の知覚出来る速度で動き、彼女を傷付け過ぎないというのは、海の中で小指の爪より小さい宝石を見付けるのより難しい。

 まさかこれほど繊細な動きを求められるとは、事前打ち合わせの前には思いもしなかった。


 ただ、なんとか俺はその繊細な動きをモノにした。

 だからこそ今、彼女を殴れているわけだが……。



 「う゛ぇおぇぇ!」



 口から大量の血を吐き出す。当たり前だ。俺に求められているのは、小さい子供と大の大人の殴り合いで如何に子供を怪我させず、どれだけ子供を楽しませ、どれだけ無防備に子供の攻撃を受けるか。これとやってること事態が変わらないからだ。


 理想は腕甲と脚甲で攻撃を受けて、腕甲で殴る。これだ。


 だけどそれを許容出来るほどこの子供は心に余裕が無い。

 そしてその子供の攻撃を、何の対策もしていない胴や顔に喰らうのは魂そのものを『破壊』されてるのと同義。


 幸い俺の魂まで彼女の『破壊』は直接的にはまだ届いてない。事前の打ち合わせで、彼女の『破壊』が魂にまで及ぶのはこの状態の時に限るらしく、そしてこの状態の彼女は真に精神年齢や思考年齢は物心が付くか付かないかぐらいの幼さだ。だからこそ魂にまでは届かない。


 だけど、そもそも俺の魂は元より残りが針ほどの細さしかない蝋燭と代わらない。ただ肉体を破壊されるだけで魂に響く。


 俺が1殴るまでの間に、ラズマリアからは3や多くて5や6は攻撃が飛んでくる。その都度ソーマとエリクサーで無理矢理延命するが、結局それは時間稼ぎにしかならない。


 そしてその時間稼ぎを、今の状態の彼女が疲弊するまで行わなければならない。



 ソーマとエリクサー、足りるかな……。



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