「マー君、俺がダメだった時は後は頼んだ」
服は着ていた。だけど、周りの人達はみんな裸だった。それだけで彼女が何をしていたか、何を壊して来たかが窺えた。
「お前の存在は害悪以外のなにものでもないな」
「だからー?アタシがアタシのオモチャで遊んで何が悪いの?」
「あぁ……」
「我が愚妹ながら、本当に終わってるな」
今話しただけで彼女が他人と関わることが出来ないことがよくわかった。敢えて表現するなら、彼女の中では彼女だけが人間で、彼女以外が人間以外で、マー君や恐らく俺も面倒臭い格下の奴、みたいな認識なんだろう。
マー君に対してのあの余裕な態度は、恐らく2年前の時にマー君がアレだけ傷付いたからなんだろうな。
マー君が人界への被害を考えて防ぐことに全力だったこと、彼女が他への被害を考えず暴れた結果ということは考えられていないんだろうな。
もう言葉を交わす必要は無い。これ以降、奴と話すことはもう何も無い。皆無だ。そういうことが今のやり取りだけでわかった。
「マー君、俺がダメだった時は後は頼んだ」
「任された。目一杯ぶつけておいで」
マー君との話を終えたと同時、俺の拳はラズマリアの鼻っ面を捉えた。




