マクスウェル
「マー君は普通に魔力制御で大丈夫だよ。それに俺の創った物は全部、所有者を俺とマー君の2人だけになるように設定して創ってある」
「それは、また……」
「じゃないと後々厄介なことになりそうだろ?悪用する奴が現れそうだ」
「まぁ、ねぇ……」
そこで一旦会話が途切れた。
マー君は何かを悩んでるようだったけど、俺は俺で言おうか悩んでいた。
ただ、言うとすればここが確実だろうとも思ったから、決心をつける。
「マクスウェル」
俺がそれを口にしたら、マー君がコッチを見た。
唐突になんだって感じで。
「マー君の名前だよ。魔王だからマー君。そこから更に君付けを取ってマークン。これがマー君のこれまでの呼び方だった訳だけど、天魔の魔王の名前がマークンなのは少し可愛げが有る。
だからマクスウェル。なんならマークン・マクスウェルと名乗っても良い。人に名乗る時はマクスウェルで、親しい相手にはマークンと名乗るでも良い。
天魔の魔王に相応しい名前をと思って考えたんだけど、どうだろう?」
「…………」
返事は無かった。カオを見れば驚き過ぎて思考が止まってるのがわかるから、マー君の思考が戻って来るまで待つ。
程無くして思考が戻って来たマー君は、噛み締めるようにマークン・マクスウェルという言葉を繰り返した。
そして咀嚼を終えると、満面の笑みを浮かべて肩を組んできた。
「マークン・マクスウェル。良いねマークン・マクスウェル!名前だけでも有り難かったのに家名まで考えてくれるだなんて!
本当にありがとう、サー君……」
肩を組んだ状態から、1度離れてマー君は俺の両肩に手を置いた。そして浸るように柔らかい優しい笑みを浮かべて、俺に抱き付く。
それに腕を回して俺も強く抱き締めてやれば、すぐに互いに離れた。
「じゃあ、行こうか」
「準備は出来てる」
言って宝物庫からこの戦いに向け用意した腕甲と脚甲を出し、宝物庫の力で装備する。
それを確認したマー君と部屋を出て、しばらく歩く。
辿り着いたのはこの城の謁見の間だった。




