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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
最終章:プロローグ
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振り返り


 最終章、始まります。




 結局自伝は日記に成り得なかったな、なんて思いながら、来る日が来たとマー君に用意してもらった部屋で『きんとれ』をしながら『うぉーみんぐあっぷ』をする。


 ここで過ごした約1年と半年間は、それまでの16年と半年以上に幸せなことで溢れていた。今思うとだけど。


 1番最初の幸せと言えば、生まれて初めてデートしたことかな。当時はレヴィアタンに付き合わされ、色々連れ回されたとか思ってたけど、今思えばあぁいう何気ない『日常』ってヤツが何よりも大事なんだって今は思う。


 次に幸せだと思ったのは……マー君の城とその城下町の人達との交流かな。

 一言で言えばみんな優しかった。

 常に誰かを警戒する必要は無い。

 常に誰かを攻撃する必要も無い。

 常に誰かに狙われることも無い。

 知らない誰かに喧嘩を売られることも無い。

 窃盗や路地裏で殺人みたいな犯罪は起きる筈が無い。

 だからか買い食いをすればみんな何かをおまけしてくれて、普通に果物を買えばやはりおまけしてくれる。

 レヴィアタンとは何度もデートしたからか、当時はお節介だと思ったけど町のおじさん達が色々と世話を焼いてくれた。それを見て町のおばさん達が教えてもらったことを訂正したりして。

 俺の人生の中で1番人の優しさに触れた時間だった。


 次に幸せと思ったのは、それこそレヴィアタンとのことだ。

 彼女は常に俺に想いを伝えてくれていた。それは彼女の権能が故か純粋な彼女の気持ちなのか、あの当時はわからなかったけど、アンガントと同じ状態にまで俺の為と侍女にまでなってくれたんだから、応えないとと思った。

 新しい名前は『アンヴィー』。名付けは魔王で、これもアンガントの時と似た名付けの仕方らしい。今ではヴィーと愛称で呼んでる。

 ヴィーは結構引っ付いて来る。特に寝ようとした時は一緒に入ってくる。流石に男女のアレソレまでは発展しないけど、俺に『情緒』が出来るほどに危ういことが多かった。なんなら昨夜も危なかった。


 次に幸せと思ったのは、やっぱりナディアとのこと、かな。

 男女のアレソレはヴィーとは怪しいところまで行ったけど、ナディアとはつい先日まで無かった。ただ、彼女の俺に委ねるような、俺と居られることが何よりも幸せ、みたいな態度が、俺の情緒が育つほど俺の何かに刺さった。

 献身という意味ではヴィーと似てる。ただ彼女は欲望が漏れ過ぎてる。対してナディアは奥ゆかしさみたいなのが有った。そこに惹かれたのか、むしろ一線引いた所からの『あぷろーち』だったからこそなのか、ヴィーとはどちらかと言うとマー君やサタンやルシファー、アンガントがルシファーだった頃なんかの感覚だ。だけどナディアはなんだか安らぐ。

 それがエルフの郷の王だからなのか彼女という存在の包容力なのかはわからないけど、彼女と一緒に居ると色々と癒される。

 だからなのか、それまでの俺の人生が死に急ぐようなものだったからなのか、俺はナディアにどうしようもなく惹かれた。惹かれて、情緒が育つのと同時に彼女と居る時間も増えて、つい先日想いを伝えた。4日前だったかな。

 喜びのあまり部屋に連れ込んで、昼夜問わず盛んになったのは色々と色々な方面に申し訳無かった。だからと言ってエルフの郷にまで行って彼女の本体と交わったのも、色々と申し訳無かった。

 多幸感が半端ない。


 そしてやっぱり俺の幸せと言えば、マー君と出会い絆の指輪が現れるに到るほど仲良くなれたこと。もうこれしかない。

 俺がマー君と出会えなければ、仲良くなれなければ今頃フォルティスに勝つなんて目標が達成出来る目処すら立たなかったと思う。

 彼と出会い、彼の指導を受け、彼を中心とした様々な人達と出会って今の俺が在る。これに幸福以外の言葉は不要だ。

 それまでの14年間はゴミみたいに酷いものだったけど、だからこそこの5年間は充実したものになった。し過ぎたと言っても良い。

 俺は結果的に人に恵まれた。



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