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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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▼side Another act4:お酒Ⅳ


 「ふぇ……?アタ、シ……?」



 次の標的が自分だと気付いたイギライアは、咄嗟に自身の権能を使ってサースとの間の空間を弄った。何もしなければ数歩前へ進み手を伸ばせば届く距離を、凡そ1キロは掛かるほどに。


 しかしその距離は、サースの射程圏内だった。



 「ヒゥッ!??」



 変な声がイギライアの口から漏れた。そしてすぐに体を抱き身悶え始める。まるで全身を舐め回され、羞恥に悶えるかのように。


 実際サースはイギライアを舐め回していた。

 しかしそれは肉体ではなくイギライアの本質、つまり魂の方を。


 イギライアの存在としての格はこの4人の中で1番高い。1番低いのは当然サースな上、そのサースの格はもはやヒビだらけのいつ壊れてもおかしくないものと言って差し支えない。

 だからこそ、イギライアの魂に干渉したとしてもイギライアの方には何も影響は無い。だからこそ、イギライアの魂にとってサースの魂というのは、ペットの犬に舐め回されるのと変わらない刺激だった。だからこそ、サースからの魂への干渉を、イギライアは全身を舐め回されてると感じた。


 これまた5分ほどそれが続くと、イギライアはテーブルの上へと突っ伏した。上気した息を漏らし、顔は赤い。端から見ればかなり怪しい状態だ。



 そこまで経って、ようやくナディアはサースが酔っていることに思い到った。そしてこの後どうなるかも察した。


 だからこの場から逃げ出そうと自身の世界へ逃げようとするが……、



 「おい」



 いつの間にか横に立っていたサースの手によって抱き抱えられたことで転移を中断させられた。その抱き方は、いわゆるお姫様抱っこだ。



 「さささささサース君?!」



 膝を着き落ち込むように四つん這いになった魔王と、明らかに淑女がなってはならない状態になったイギライアを見て、この後自分がどうなるのかという不安と、好く相手からのお姫様抱っこによる羞恥感と多幸感によってナディアの内心は混乱の渦の真っ只中だった。



 「俺の部屋に行くぞ」


 「ひゃいッ!」



 サースの部屋に行き、彼等が何をするのか。それを言葉にする必要は無いだろう。言わぬが花、というヤツだ。


 後日の話。

 サースは2日ほどずっと眠っていた。そして飲んだ直後からの記憶が全く無かったようだ。


 彼を酔わせた3人はサースの状態を確認したあと、互いに示し合わせた訳も無く、堅く1つの答えを出した。


 サースにお酒を飲ませるのはやめよう。というものだ。


 酔うとサースはエロくなる。それこそ性別や種族を問わず手を出すほどに。


 この結論が出た時、しかしナディアだけは内心、今度また飲ませようと心に決めた。そしてその日のことを思い出し、顔を赤くするのだった。



 ちなみにこの時、珍しい人物の性欲により一部の大罪が普段以上に色々と強くなっていたのは余談だろう。




 この話の裏話ですが、書く直前まで『サース酒豪』ルートと『サース泣き上戸』ルートと『サースメンヘラ化』ルートのどれで行くか悩んでました。


 ここからは最終章を書き終わるまでシリアスしかないので、最期の息抜きでした。


 次から最終章が始まります。



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