▼side Another act4:お酒Ⅱ
「サー君が晴れて大人の仲間入りをした。祝わなきゃ!
祝うなら盛大にやらなきゃ!でもサー君は派手過ぎるのを嫌う。
なら仲良い者同士で飲むのが良いだろう!じゃあサー君と仲良い娘を呼ぶか。
これだけど?」
「俺を慮ってくれたのはわかった。それで仲良いでナディアが呼ばれたのも、まぁ色々と色々と色々と思うところは有るけど納得しよう。
で?なんで酒?」
「大人と言えば酒でしょ?酒と言えば酔うでしょ? サー君が酔ったらどうなるのかなって」
「ごめん久し振りに言うわ。頭湧いてんのかクソ魔王」
「湧いて無いけどー?湧く筈無いですけどー?ただ酔っ払った親友がどうなるか見たいだけですけどー?あわよくば痴態晒してくれたら一生弄れそうとか考えてるだけですけどー?」
「表出ろや!!」
叫ぶサースから放たれた拳は、簡単に魔王に避けられた。それだけに留まらず、伸ばしきられたその腕に絡み付くように魔王は自分の腕を絡ませ、そこから関節技を極めながら肩を組んだ。
そして反対の手には口の開いた酒瓶が1本。
「さぁ、飲んで飲んで」
抵抗する間も無く酒瓶の口はサースの口の中へと押し込まれ、傾けられたソレから中身がサースの口内へと入る。
目を見開き驚いたサースは、直後に諦めたように体の力を抜き、喉を鳴らした。
「おぉー、良い飲みっぷり。ギャアー!」
「馬鹿が。飲むから自分の配分で飲ませろ」
サースがお酒を飲んだ。そう思いサースの口から酒瓶を抜いた直後、魔王の顔面へサースは酒を吹き掛けた。
口に入った分全てを吐き出したであろうサースは袖で口を拭うと、アーアーと喉を震わせ調子を確かめた。
「あー、クソ。ちょっと吸収しちまったじゃねぇーか」
サースの口振り的に、どうやらサースは飲んだように見せ掛けてお酒を口内に留めて、その留めた分を吐き出したらしい。
本来であれば酒瓶の中身が減っていないことで飲んでないことがわかった筈なのだが、何故かこの時の魔王はそれに気付くことがなかった。
そしてその理由をサースは即座に言い当てた。
「俺が来る前に既に飲んでただろマー君」




