▼side Another act4:お酒
魔王が判断した2年まで残り1週間という頃、サースは魔王に呼ばれ彼の私室へと移動していた。
文字通り私室であり、謁見の間のような公的な場所ではない。正真正銘、魔王の私室である。
実はサースも魔王の私室へは案内されたことはあったが中に入ったことはなく、イギライアすらも入ったことは無いと伝えられていた。
そんな場所への呼び出しだったため、サースは内心かなり身構えていた。
「来たけど、どうしたのさマー君?」
ノックをしそう声を掛ければ、中から魔王が扉を開き、サースを中へと招き入れた。
サースが中に入ると、中にはイギライアの姿もあり、そして何故かナディア・ガレリアの姿も在った。
「どういう状況?」
「サー君も人界規準ではもう成人したでしょ?だから1週間後までにお酒でも飲もうぜって」
「…………イギライアが居るのは100歩譲って納得するよ?だってマー君の彼女なんだから。 なんでナディアが居るのさ?」
「えっと、私が居たらダメだった?」
「そういう話じゃなくて、時間も時間だし、本来ここに居ない筈の奴が居るからなんでかなって気になっただけ。ナディアが居ちゃダメとか、そういうことを言う気は全く無い」
サースの言葉にナディアはあからさまに安心したように息を吐いたが、だからと言ってサースの疑問が解消されたわけではない。
必然、その視線はまた魔王の方へと向いた。




