『 』の目覚め
「そうだね、その懸念点は尤もだ。ただ、続けていればそう遠くない未来、長くても1年以内には嫌になってやめると思うよ」
「その根拠はなんでしょう?」
「過去の経験からだね。
天界は1度、アレによってアレの情報や色々な情報が破壊されている。それでアレのことを覚えてる奴は俺ぐらいになったからわかる奴は居ないけど、サースも言った通りアレはガキなんだよ。我が儘言って、納得出来なければすぐに癇癪を起こすガキだ。だから思い通りに行かないことが続けば、絶対癇癪を起こして、癇癪が終わればやる気を失くす。
奴にとって時間は必要で、その間に自分の名声を高めようとしてるみたいだけど、思うように行かなければ最終的に萎えるのがアレだよ」
「……そう、ですか。では、あとはハザード君次第ということでしょうか?」
「そうなるね」
魔王とガレリアの話が終わると、この場に居る全員が俺の方を見た。
天界側は懐疑的、エルフの郷側は不信感、ガレリアはなんだろうか、応援されてるように見える。そして魔王は俺が完成させるのを疑ってないようだ。
陣営毎、というより、俺を知ってるか知らないかで彼女等の思うところは違うらしい。まぁ当然のことだが。
ここで何を求められてるかを考え、すぐに何をすれば良いかを思い付く。
取り敢えず、中間報告と行こうか。
「改めて進捗を話すが、魔王から転移の渦がどういうモノなのかを聞いて、俺なりに解釈した結果転移の渦は割と簡単に再現出来そうだった。 再現出来るということは、自然の転移の渦にも干渉出来るということだ。だから魔力を流すだけで転移させる為の魔法陣事態は完成してる。
ただ、さっきも言ったが一定時間毎にという部分で手間取ってる。
わかりやすく解釈するために、便宜上転移関係のことを空間属性、一定時間毎にの方を時属性とでも名付けるが、つまり空間属性への理解はある程度出来てるが時属性の方の理解は全く出来てない状況が今だ。
だから今俺に足りないのは時属性の解釈だったりするんだが……、」
そこで区切り、魔王と天界の奴等を見る。
魔王は苦笑いをしていて、天界側は大きく目を見開いて驚いていた。あの驚きようは何度か見たことが有る。つまり正解って訳だ。
1番教えてくれそうなのは魔王だが、魔王は教えてくれないだろう。天界側も、恐らく教えてくれないだろう。それをわかった上で目線で教えてくれと視線を送るが……、やっぱりダメそうだな。
そう諦め掛けた時だった。
『おぉー、まさか起きるとは。いつ振りだっけ?……うぉっマジか。彼が前に来た振りじゃん。なんで今回こんなに起きるの早いんだ?』
そんな声が頭の中に響いた。




