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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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魔王の母親


 程なくしてエルフの郷の奴等もこの場所に辿り着いた。

 当然と言うべきか、表立ってやって来たのはガレリアで、あとは若そうなエルフの男が2人だった。


 見たことが無いため、もしかしたら今回の為に用意したのかもな。


 ガレリア達が席に着き、彼女達の前に杯が置かれると、魔王の母親も部屋へと入ってきて、恐らく普段彼女が座っているのであろう席に座った。



 「普段であればここで少しの談笑、後に本題へと移るのが良いのでしょうが、今は少しでも時間が惜しいところ。ですので挨拶は軽く済ませ、早速本題に移りましょう」



 思わず魔王の顔を見る。何故なら少し前までの彼女と今喋った彼女があまりにも別人過ぎたからだ。


 魔王に抱き付き甘えるようにしていた魔王の母親を一言で言えば俺と同い年ぐらいの女だ。

 俺を攻撃した時の彼女なら冷徹と感じられるほどにその目や圧が鋭かった。

 そして今喋った彼女は、魔王と初めて会った時のような、所謂『上に立つ者』特有の圧というか、気高さみたいなのがあった。


 全てがあまりにも別人過ぎる。それぞれに対応した人格が有って、その時々に適した人格に入れ換わってると言われたら納得してしまいそうなほど本人かを疑う。


 魔王もそれを理解しているのか、俺と目が合うと肩を竦めた。

 「いつものこと」らしい。



 魔王の母親の別人振りに驚いている間に彼女の話は進み、天界側の出した案が発表された。


 内容はなんと言うか、真面目過ぎるしあまり意味の無いものだった。

 例えで挙がったのは、超質量の四角い肉の塊を創りそれを転移させるだとか、破裂寸前まで肉の詰まった小さい肉塊をいくつも創って質量を嵩増しするだとか、そういう案だった。

 ただこれは両方とも却下された。

 そもそも前者は転移そのものが出来るか怪しいし、後者は破裂した際の周囲への影響を考えていないとして却下された。


 次にエルフの郷が発生した案は、トレントなんかの人間の生活の足しになるような魔物を送り込むというものだった。

 倒せば有用な素材となり人界の人々の助けになる。仮に素材を回収されなくとも、その生命は地に芽吹き次への糧になるというエルフの郷らしい案だった。

 これは保留になった。考えは人界に寄り添っているが、それだけでラズマリアの策を潰すまでには到らないと判断されたためだ。


 そして次に、俺達魔界側の案はというと、



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