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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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行き過ぎれば


 話もそこそこに、魔王の母親の先導で会議室だろう場所へと案内された。

 中にはまだ誰も居らず、案内された席に着く。



 「少しの間お待ちください」



 そう言って魔王の母親は出て行った。


 入れ換わるように天族の女が1人入ってきて、俺達の前に豪華な装飾の施された杯を出された。


 中身は赤かった。ワイン、だろうか。



 「おい」



 飲もうと杯に手を伸ばした時、魔王が若干怒気を孕んだ声で出て行こうとする天族の女を呼び止めた。



 「如何去れましたか?」


 「誰の指示だ?」


 「あの、えーっと、」


 「俺にこれを出すのはまだわかるが、サースにこれを出すのはダメだろ。それともエルフの郷の奴等にも出すつもりか?」


 「いえその、私はただ良かれと思い」

 「嘘を吐くな。これが天族以外にどう作用するのか理解していない奴がこの場の給仕を任される訳が無いだろ。


 最後のチャンスだ、誰の差し金だ?」


 「……………………さまです」


 「なに?」


 「ラミエル様、です……」


 「ラミエルね。わかった。後でクレンジングするように母上に伝えておく。当然お前の処遇も」


 「──ッ。失礼します」



 女はそれだけ言うと走って部屋から出て行った。



 「今のは?」


 「ラミエルがサースを毒殺しようとしたんだよ」


 「……俺、それほど嫌われるようなことやったか?」


 「知らない。呆れ通り越して無関心に近いぐらいアレ等が何を考えてそれをやろうとしたかなんて知りたくもない」


 「……口振り的に、魔王には何も問題無いんだよな?」


 「そうだね。良い物も行き過ぎれば毒になるって話だよ」


 「そう言うことか」



 具体的な説明はされなかったが、それだけで目の前に出されたこの飲み物がどういうものかがわかった。



 「なぁ魔王」


 「なに?」


 「今のところ天界や天族への印象はヤベェ奴等って印象なんだが?」


 「だろうね。これもこの飲み物と一緒だ。行き過ぎれば害になる。だから俺は天界から離れたんだよ」



 行き過ぎれば害になる。そう言った魔王は遠い何処かを見ているようだった。

 恐らく過去に何かあったんだろう。


 行き過ぎれば毒になる、か……。


 まぁ、今の俺にはもう遅い話ではあるか。



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