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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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ラズマリアの母親


 「魔王の母親、その辺にしたらどうだ?」


 「ねぇ愛しき我が子、何故顔を見せてくれないの?何故声を聴かせてくれないの?私が何か、貴方に粗相をしてしまいましたか?」


 「おい、魔王の顔を見たり声を聴いたりしたいなら一旦離れろって」


 「あぁ我が愛しき子、何故貴方はいつも母と再会する度に無視をするのですか?母は泣いてしまいそうです」


 「おい、人の話を聞け。最悪俺の話は聞かなくて良いから魔王の話ぐらいは訊け。アンタが望む結果はアンタが少し自重すれば」

 「先程から煩いですね」



 言葉を遮るように吐かれたその言葉の直後、俺は後方へと吹っ飛ばされた。

 衝撃を逃がすため地面に着くと同時に後ろへ後転しながら立ち上がろうとしたが、それは叶わなかった。


 腹のど真ん中に穴が空いていた。位置で言えば胃の上3分の2と両肺の下5割が無くなっていた。血はそこから流れ、吹っ飛んでいる間にも血は流れていたため俺の前方には血で出来た赤い線が出来上がっていた。



 「(ヤロウ……!!本当にラズマリアの母親みてぇだな!魔王の親って方が信憑性無ぇぞ!!)」



 そのままアンガルミアを追い越し、入ってきた門の手前まで飛ばされた所でようやく勢いを殺せて立ち上がることが出来た。

 昂る怒りを宝物庫から中身だけ出したエリクサーとソーマと共に呑み込み、穴が塞がる感覚を感じながら、臨戦態勢で改めて近付く。


 何をされたのか見えなかった。それが悔しくもあり、嬉しくもある。


 俺の中で最強は魔王だ。その魔王に本気を出させたというのは、俺の中でかなりの自信とある種の誇りになっていた。

 だがそこで、無意識の傲りが有ったんだろう。だから『魔王の母親』だと言うのに気を抜いていた。


 だから今度は臨戦態勢で、いつでも対処が出来るようにした状態で、本質を視る眼で得た情報的に今も尚暴走を続ける魔王の母親へと歩いて近付く。


 ソーマを飲んだのは、魂そのものが抉られてるのを瞬時に感じ取ったからだ。


 俺の今の生命は風前の灯火だ。だからいちいち本質を視る眼に変えなくとも、自分の状態なら知覚出来る。


 見事に胴体に当たる部分の生命が削られていた。


 恐らく使われたのは破壊属性だろう。それも、魂への干渉という破壊具合から考えて『破壊』の権能の方らしい。


 本当に親子だ。魔王の方ではなくラズマリアの方と。


 1発入れたい気持ちは有るが、恐らく戦いにもならないだろう。だから、今は取り敢えず、魔王の救出という目的の方を優先する。そう思い、敢えて時間を掛けて生成され続ける魔力を移動しながら練り続けた。



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