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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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魔王の故郷


 そんな魔術開発に転機が訪れたのは2回目の天界で行われた三世界会議の時だ。


 魔王に連れられ訪れた天界は、一言で言えば魔界とはまた違った意味での魔境だった。


 まず到着すると同時に天族の見た目は俺ぐらいの年齢の男共に槍を突き付けられ、言葉を発するより速くその槍を突き出された。

 俺も魔王もそれを軽く無力化して中に入れば、恐らく天界に居る全ての天族が襲撃だと叫びながら俺達へと攻撃をしてきた。


 魔王は「教育はどうなってんだよルーンドゥル」とか、誰かへ苛立たしげに悪態を吐いていて、槍を構えて飛んで突撃してくる天族の戦士だろう奴等に一言、「『ひれ伏せ』」とだけで言って、地面へと落ちた彼等を1人1人踏みながら笑顔だが明らかに笑ってない様子の彼に奥へと案内された。


 そうして白一色の悪趣味な大きな門の直前に在る広間のような空間に辿り着くと、背中の曲がった1人の老人が待っていた。



 「お帰りなさいませ若君。お早い帰還にこの爺、涙で視界が歪みそうでございます」


 「だから若君は止めろって何度も言っているだろルーンドゥル。それに若い奴等への教育はどうした?また襲ってきたぞ」


 「申し訳ございません。普段であれば奴等も自制が利くのですが、この爺含め貴方様のご友人が来訪すると聞き及びまして、少々血が滾ってしまったのです」



 そう言って深く頭を下げていた老人は顔を上げると真っ直ぐ俺のことを見詰めてきた。



 「お初にお目に掛かります人族の方。私はルーンドゥルと申す、そこに居られるお方の世話係をしていた者です。人族の方、宜しければお名前をお聞かせ願いますかな」



 言葉遣いこそ丁寧で、相手を不快にさせない喋り方というのはこういう物を言うんだろうと思わせられる謙遜具合だったが、こちらを見るその眼はとても力強いものだった。

 本人が言った通り、今の彼は『興奮』しているのだろう。



 「愛されてんのな」


 「どうなんだろうね。母親同様些か過保護な気がするけどね」


 「それだけお前のことが大好きなんだろ」


 「どうなんだろうね」



 照れてる。これまでの経験からそう判断した俺は、軽く鼻を鳴らして笑ったあと改めてルーンドゥルと向き合った。



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