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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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この世の地獄


 「なんだ、これ?」


 「これが今の人界の様子だね。ほら見て。そろそろ現れる」



 出入口から魔王の隣へと移動しながら映像を見ていれば、確かに魔王の言う通り空間が歪み、そこから何かが現れた。


 アレは……、



 「もしかして、天族とエルフ族か?」


 「当然エルフ族の方は『エルフの郷』のエルフだね。彼女達は偵察なんだよ」



 言葉通り比較的軽装で、しかし映像越しにでも強く見える彼女達は、しかしすぐ後には破壊の光線で僅かな肉片や骨だけ遺して死んだ。



 「これが、なんなんだ?」


 「まぁ見てなって」



 彼女達が物言わぬ姿になった直後、再び空間が歪み、そこから魔物が現れる。

 今度は小さな鼠だった。そして鳥や鰐、そして明らかな人族の子供だった。しかし彼等はすぐにラズマリアの放った破壊の球に圧迫され、影も灰も遺さずこの世から消えた。


 その後もほぼ絶え間なく俺の知る限りのありとあらゆる種族が歪んだ空間から現れたが、その全てが彼女の無慈悲な破壊により消え去った。

 幸いなのは、小さな子供だったとしても、アレなら痛みを感じず逝けてることだろう。



 「サース、これ、人界の何処でも良いから送ってみて。今映してる彼処以外の場所へ」



 隣に座る魔王からそう言われて渡されたのらアンガントを創った時のような魂の無い人間の肉体だった。


 魔王の出した条件から、薄々勘付いていた嫌な想像が現実である可能性がかなり高いことを上がる心拍で感じつつ、言われた通り、試しに今頃ブラファーとアルメガが居るだろう大陸へと転移で送る。


 すると魂の無い肉体は、投影先に出現し、これもすぐに飛来した破壊の何かで穴だらけにされて野晒しとなった。



 「ほら、転移機能がイカれたって言っただろ?その結果がアレになった」


 「最悪だな。また別の軸の地獄だこれは」


 「だね。 今の人界は次元や空間というものが安定していない。


 なのにあのバカは破壊の権能を載せた破壊の魔法を使って悦に浸り、より空間を歪めてる。

 その皺寄せは人界の世界中に拡がり、人界の色んな所で触れれば強制的にあの場所に転移させられる空間の渦が点在してる。ダンジョンの転移魔法陣の理屈だ。


 要は、今の人界は、人界から人界へ、天界や魔界やエルフの郷などの異なる世界から人界へ転移という方法を使えば強制的にあの場所へ転移させられるって訳だ」



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