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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第三章:亀裂
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「流石にやり過ぎだろバカ魔王!!!!」


 迫り来る白と黒の魔力球を時には斬り、時には弾き、時には受け流す。途絶えることの無い弾幕が、俺を鍛えるただそれだけの為に向けられる。


 手心なんてものは無い。それが魔王のやり方だし、俺自身求めてないからだ。


 この攻防に終わりは無い。有るとすればそれは魔王の気が済むか俺が死に掛けるかの2つに1つだ。



 100なんて当の昔に越え、1000も恐らく既に越えた。

 そこまでやれば魔王が起き抜けの俺に強いるこの修行の効率的な魔力の運用法も自ずと見えてくる。

 要するに魔王は、俺に迫り来る魔法を正面からどうにかする技術を身に付けさせたい訳だ。それは俺の総魔力量が少ない故に、防御魔法に回すほどの魔力が無いからだろう。だから魔王は俺に、例え広範囲魔法を向けられてもそれをどうにかする技術を身に付けさせたいのだろう。

 だからこそ、注意深く迫り来る魔法に目を向ける必要が有る。


 そうすれば見えてくる物が有る。

 魔法を斬るには斬る魔法に込められた魔力に応じた魔力量を武器に纏わせて斬るか、その魔法の核となる部分を魔力を纏わせて斬るかの2択だ。

 そして俺の場合、核を斬るのが1番合っている。だから迫り来る魔法の1つ1つの魔力核を探し見付けるのがこの技術のコツのようだ。


 迫り来る魔法の1つ1つに眼を通し、その核を見付けると同時にその核の通る場所に刃を置く。弾いたり受け流すのは余計に魔力を武器に込めれば可能だ。だけどそれは効率が悪いためなるべく斬る。


 斬って、斬って、斬って、斬って、弾いて斬って、斬って斬って、受け流しては斬って、斬って斬って斬って斬って斬る。

 そうやって体と目が魔法に慣れてきた時だった。とある魔法球を1つ斬った時、唐突に纏っていた魔力が全て無理矢理引き剥がされた。破壊されたと言っても良いのかもしれない。


 一瞬その事に気を取られ、魔力球の1つが体に当たる。それと同時にまた身体強化に回していた魔力が全て一気に無くなった。


 そこで1つの可能性を思い付き、身体強化を掛け直す。



 「流石にやり過ぎだろバカ魔王!!!!」



 身体強化を掛け直した体で避けて魔法球を捌き、大刀に魔力を纏わせ直して再び斬る作業に戻る。今度はさっきよりも魔力を込めて。



 「サースの目標を思えばこれは必須だろう」



 魔法球と大刀との衝突の爆撃音で普通は聞こえない筈なのに魔王の声はしっかりと耳に届いた。声色的にそれはもう楽しそうで、大きな声を出して言ってる訳ではないようだった。


 本当に何でも有りな魔王に舌打ちが漏れる。

 だけど仕方ないだろう。今迫って来てる魔法球の全ては破壊属性の魔法球に置き換わっているのだから。


 半年以上前に聞いた魔王の言葉では創造属性を持つ魔王は破壊属性を持てないという話だった筈だ。

 なのに奴は今、破壊属性を使っている。


 魔法球を斬りつつ魔王の方を盗み見れば、彼の手に嵌まる指輪が1つ増えていた。そしてその増えた指輪が光っている。それで彼が何をしたかを察し、改めて大きく吼えた。



 「クソがぁぁぁぁぁぁッ!!!!」



 本当に魔王は容赦がないクソが。



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