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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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デート:レヴィアタンⅧ


 レヴィアタンの指摘に思わず黙る。

 図星というほど明確ではないが、漠然と考えてはいたことだったから、まさか指摘されるとは思わなかった。



 「その可能性は有りそうだ……」


 「あら、自覚有ったの?」


 「この底無しの『足りない』が、どれだけ埋められても、埋められるほどに、より『足りない』になって飢餓感が日に日に増してるんだよ。

 そんな状態でアイツを倒したところで、果たして満たされるのかは、正直わからないよな……」


 「どれだけ妬んで、どれだけ嫉んで、どれだけ何かを羨み嫉妬する、嫉妬の権化たる私が断言してあげる。絶対に貴方のその飢餓感が満たされることは一生無いわ」


 「権化とまで言わしめる存在にそうまで断言されたなら、そうなんだろうな」



 ここまで断言されて、むしろ胸の内は憑き物が落ちたかのように清々しかった。

 なんだかんだ俺の中で蟠っていたんだろう答えの出ない無意識に意識していた悩み。それの答えを言ってもらえて胸の蟠りが解けたんだろう。普通は傷付くところだろうに、答えは得たと清々しかった。


 だから、続くレヴィアタンの言葉によってより驚かされ、そして晴れやかな気持ちになった。



 「だから貴方は、これからの一生を可能な限り楽しく過ごすの」


 「……は?」


 「良い?貴方のこれからの一生は、貴方がこれから一生抱え続ける飢餓感を紛らわせることに費やすの。


 いくら修練を積んでもやり足りない?

 なら修練をそこそこに、その分いっぱい休息を摂って英気を養うの。


 どれだけ知識を得ても得足りない?

 なら絵本や恋愛小説なんかを読んで、叡智とは一切関係無い知識を身に付けるの。


 いくら寝ても、いくら食べても、いくら発散しても、いくら傲っても、いくら妬んでも、いくら欲しても、いくら怒っても、全然満たされない?

 ならヒトのタメになることをやるの。そうやって意識を内ではなく外へ向けて、少しでも気を紛らわせるの。


 貴方は人間なのよサース。想いのままに動くことが許された生き物。いくらやっても餓えが満たされないなら、別の何かで餓えを満たしても何も問題無いの」



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