ソーマを飲む理由
魔王が飲めというのなら、飲んだ方が良いんだろう。それに、ソーマの効能を思えば誰でも欲しがるだろう物だ。その上で、
「目的は?」
「今更属性についてはどうすることも出来ない。これはどうあってももう覆らない。だけど、魔力ならどうにかする方法が有る」
「……増えるのか?今よりも早く多く」
「サースの場合は戻すと言った方が良いかもしれない。本来在るべき状態に戻す。
改めて言うけどね、本来サースは愚妹が君から力を奪った時点で死ぬ筈だったんだよ。
それが奇跡的に肉体的潜在能力と割れた陶器の小さな破片みたいな量の魔力が残ったことと、君の幼馴染みの本来の属性が水だったということもあり君に水属性が残ったから今もそうして生きてられるんだ。
そしてその器とも言える肉体は恐らく今が最高潮のものだろう。それ以上は恐らく伸びない。つまり君の肉体はその潜在能力を出し切った。
君を湖に例えよう。水が干上がり、底の土が湿る程度の水気しか無い、剥き出しの湖の中も湖の周りも荒れ果てとても修復することが出来ない終わった水源。それがこれまでのサースだ。
そして今は剥き出しの湖の中も、荒れ果てた湖の周りも、全ての整備が整って、あとは水を持ってくるか湧かすかという状態が今のサースだ。
だから、ソーマを飲んで、水を湧かせて湖を復活させる。水が湧いて溜まれば、晴れて元の状態に近い湖の完成だ」
「…………摂取する量の指定は、せっかく整備した湖の中を湧かす水で崩さないためか?」
「そういうこと。ここで焦ると、その前にもうどう足掻いても戻せない状態になる。だから摂取量は絶対に守ってね」
「了解」




