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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十一章:やり残したこと
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魔界での最初の1週間


 第11章、始まります。




 目を覚ますと、それはもう楽しそうな表情の魔王が俺を見下ろしていた。


 挨拶変わりに頭突きを見舞おうとしたが、簡単に避けられた。



 「おはようサース。朝からご挨拶だね」


 「気持ち悪いカオで人の寝顔覗いてたからだろ。毎朝本当に飽きないな」


 「ここは人界じゃなくて俺の魔界だよ?つまり俺がルールだ。ならやりたいようにやって何が悪いのさ」


 「暴君というだけ質が悪いのに、それが世界の王とか世も末だな」


 「大丈夫。俺が自分勝手にする相手は、俺が大嫌いな奴と俺が大好きな奴だけだから」


 「ホント、質悪いわ」



 魔界に引っ越してきて1週間が経った。

 その1週間の間、毎朝俺は今みたいに魔王に寝顔を覗かれ、毎度意味の無い会話を繰り返していた。


 まだ魔界に移住して1週間しか経っていないが、既に居心地は人界に居た頃よりも良く、ありとあらゆる面で『自分を高めたい』と思う者には打ってつけな世界が魔界だった。


 戦闘については最低ランクがキラーラビットなんかのSランクの魔物で、これを人界の常識で言えばここから更に魔界に於けるSランクが存在するわけだ。まだまだ上が有る。それだけで環境としては最高なのに、俺は魔王やその部下達とも望めば戦わせてもらえる。対魔物、対人、両方の経験を詰ませてもらえるこの環境は最高と言えた。


 薬学や魔法陣学なんかも人界と比べればかなり進んでいる。薬学についてはこの世界独自の物が有るが、だからこそ産み出される効能の高いポーションや薬は、人界基準だと上級ポーションに匹敵する。

 魔法陣学なんか人界には伝聞で伝わっているか、本当に基礎の基礎しか文献が無い。それを読み込み理解した者が教鞭を取っていた訳だが、その内容は本当に基礎だけで応用も独自性も無いものだ。その点魔界の魔法陣学はどういう流れでその魔法陣が出来上がるのかを事細かく書かれた文献が有る。人界だと魔法陣学の賢者なんて呼ばれてた奴が教えるような内容が、簡単に魔界の市民でも読めるというのが既に文明の差を物語っている。


 飯も美味い。魔界というだけあって食べ物全てに魔力が含まれているのか、食べる物全てが栄養豊富で、食うほど体に栄養が蓄積されているのがわかるほど美味い。


 欠点を挙げるとすれば、それは空気か。全体的に淀んでいるような、砂埃の中で呼吸をしているような、そんな居心地の悪さが有る。だけどそれも、1週間も居れば慣れた。


 この1週間はまさに、天国で過ごしたかのような居心地の良さだった。

 前にも長期滞在した筈なのに今回の方が居心地が良いのはなんでなんだろうな。



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