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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十章:見切り
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軽いお願い


 「おかわり」


 「言うと思ったよ。なぁスァールァドゥーク、今ここで持ってる分の甘味を全部をやるから俺からのお願いを1個聞いてくれないか?」


 「良いぞ」



 スァールァドゥークに何かを頼む時は、こうやって餌付けみたいにして頼むのが1番早い。そう思いスァールァドゥークに提案したんだが、スァールァドゥークが良いぞと言った直後、俺とスァールァドゥークとの間に1本の線が出来た。


 これは契約だ。破られれば、破られた側がどれだけその契約を大事に想っているかでその罰の重さが変わる、絶対に執行されるとても重い契約だ。


 これには思わず俺も苦笑いをした。

 たかが甘味のおかわりの為だけに、恐らく破れば俺が死ぬような契約を無理矢理結びやがった。


 呆れつつ、ほらよと宣言通り指輪と宝物庫と外に出してる分、持ってる全ての甘味をスァールァドゥークの前に出してやれば、彼は視線だけは魔猪の丸焼きへと向けながら、俺のやった甘味に舌鼓を打ち始めた。



 「全くお前は……。じゃあお願いだスァールァドゥーク」


 「ぉん」


 「今後ここに、恐らく魔界の王と名乗る奴が現れるかもしれない。もしかしたらマークンと名乗るかもしれない。ソイツが来て、俺の名前を出したら、彼のお願いを1つだけ叶えてやってはくれないか?」


 「ものぃおぅお?」


 「たぶん無茶振りとかはしないだろうからそこは大丈夫だとと思う。じゃあ頼んだぞ」


 「ぉん」



 話が終わったところでちょうどアルメガが火から魔猪を降ろし、腹から尻の方の肉を千切り取ると、それを恐らく巨人のダンジョンから採って来たであろう大きな葉の上に盛り付け、スァールァドゥークの前に置いた。



 「どうぞ」


 「肉!お前良い奴!」



 急いで口の中に俺がやった甘味を放り込むと、スァールァドゥークは犬のような獣の姿となり、盛り付けられた肉をそれはもう美味しそうに頬張り始めた。



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