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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十章:見切り
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本質への干渉


 何をやったか。スァールァドゥークの力がなんなのか。


 それは、魂への干渉だ。

 より正確には視たモノの本質に干渉する力だ。


 生物にせよ石みたいな無生物にせよ、モノにはソレの持つ『形』が有る。

 魔王から借りた書物から、スァールァドゥークの見えない力の正体は魂だと結論付けた。


 スァールァドゥークは脚が6本、人間の腕が4本、犬系の前足2本生えた魔物だった。

 スァールァドゥーク曰く、最初はただの獣だったらしいが、強い相手を喰らい続けた結果今のスァールァドゥークに成ったらしい。


 この技術をスァールァドゥークから学んでから、よりモノの本質を視る力が養われた。そのおかげでより万物への理解が深まり、より俺は強くなれた。


 そしてこの力で視た巨人族達は、普通に見た姿とは異なり、その本質はとても『巨人族』なんて言えないものだった。


 『巨人族』と名乗ってはいるが、コイツ等の本質はむしろ『小人族』だ。人族で言えば胃の部分。そこに小さな人型の姿が在る。タイタンと名乗る彼等の本質は、その人型だった。


 人間をこの視界で捉えれば、普通の健康的な奴を見れば肉体の形と違わない形をしている。弱っていれば表面が少し磨り減ったように減っているが、元気になればそれも回復していた。


 この視る技術の習得には相応の時間が掛かったが、それ以上に干渉する技術は本当に難しく、習得出来たのはラズマリアと戦ったあの日の朝だ。

 習得さえ出来れば、コツさえ掴めば、あとは楽に技術を磨けた。


 この眼で視る世界は白黒で、魂には色が付いている。

 この眼で視る世界に視界は存在しない。視たいと思ったモノを視れる。それがこの眼だ。当然長時間の維持は出来ないが、干渉する技術を身に付けてから毎日維持時間は長くなってる。


 見たいモノを視れる。視たモノに干渉出来る。なら、その本質に干渉して潰せば、そのモノは死ぬ。


 巨人族はその肉体で圧倒するんだろうが、その本質はどの生物よりも脆弱。だからスァールァドゥークはコイツ等にとって天敵だ。


 だからヨトゥンマキアは焦った。簡単に自分達が滅ぼされるから。


 ただ、ヨトゥンマキアだけはその大きさが違った。ヨトゥンマキアだけ俺達人族と同じ形をしていた。

 これである可能性が思い浮かんだが、今は置いておく。



 ブラファー夫妻の向かう先で彼等を止めようとする巨人族、たまたま居た巨人族の本質を、次々に握り潰していく。

 それだけでその個体は倒れ、ブラファー達は安全に入口の方へと移動していく。



 「キ、サ、マァ!!」



 ヨトゥンマキアが吼える。吼えて、俺を潰そうとしてくるが、普通の視界の方では今の俺の敵は少ない。


 踏み潰そうと下ろされた足の裏を、片手で受け止める。



 「お前だけは、その体を殴り潰そうかな」



 ヨトゥンマキアへの反撃の狼煙に、まずは1発、本気の拳を叩き込んだ。



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