巨人族の天敵
ヨトゥンマキアと名乗ったその巨人は、明らかに高圧的な態度で、こちらを見下した目で興味無さそうに聞いてきた。
それだけで、巨人族への興味というか話はこれで終わりだと判断した。彼等との共存というのは絶対に無理だろう。それは人界も魔界もエルフの郷の人類でもだ。
天界だけはわからないが、まぁコイツ等と同種だろう天界の奴等とぶつかればコイツ等が滅びることになるだろう。魔王の故郷のようだし。
「ヨトゥンマキア、人族の」
「口が成ってないぞ人族。ヨトゥンマキア様だろう?」
自己紹介をしようとしたら、ヨトゥンマキアからそう遮られた。
あぁ、この種族は本当にダメだ。最初から会話にならない。自分達が地上の絶対種だと傲っているような態度だ。
…………コイツ等は、スァールァドゥークに良いようにされて地上から撤退したんだったよな。
なら、だ。弱点はアレだろう。
ブラファー達には入口へ急ぐように言っておいて、練習台にさせてもらおう。
「ブラファー、アルメガ、先に帰っておいてくれ」
「手伝うつもりだが?」
「たぶん2人じゃまだ無理だ。詳しくはスァールァドゥーク辺りに学んでくれ」
「……そういう手合いなのか?」
「たぶんな」
「では、残念ではあるが先に帰らせてもらおう」
「おう。スァールァドゥークと会った辺りで落ち合おう」
「サース殿、ご武運を」
巨人族達を無視して普通の声量でブラファー達と話す。
去ろうとするブラファー達に手を上げて振ることで返事をし、視界を切り換える。
魔力を視る眼から、更に魔力を送り、魔力の更にその奥を視ると意識する。そうすることで、眼は魔力を視る眼の視界よりも更に色を単一のモノへと変えた。
「何処へ行く!」
「ヨトゥンマキア様の御前だぞ!お許しも出ていないのに去ろうとするな!」
後ろでヨトゥンマキアのお付きだろう奴等の怒号が聞こえる。
そちらへ視線は向けない。向ける必要が無いから。
「?! おい人族、キサマ何をした!?その力は、その力はーー?!!」
目の前でヨトゥンマキアが明らかに狼狽える。
ブラファー達に攻撃を仕掛けようとしたお付きの巨人族達が全員倒れたからだ。
「ヨトゥンマキア、お前達って体の割に小さいんだな」
「ッ!? ─────────ッ!!!!」
ヨトゥンマキアが声にならない悲鳴を上げた直後、聞き取れない音による咆哮を上げた。
それだけでダンジョン全体が揺れ、ダンジョン全体から絶対的な『お前だけは絶対に殺す』という意思が感じ取れた。
もはや笑うしかない。どうやらスァールァドゥークの力は本当にこの巨人族達にとっては天敵らしい。




