怪しい巨人族
「お客さん?」
男の巨人が辺りを見回す。しかし俺達を見付けられないらしく、何度も周囲を見回したあと、もう1度「お客さん?」と呟いた。
「ここに居るよ!」
俺達を頭の上に乗せていた女達が自分の頭の上、つまり俺達を指差す。
指差したことで男の巨人顔が近付き、そしてすぐに驚いたような声を上げた。
「うわぁ!お前等それ、小人族じゃねぇか!何処でそんな、……何処でそんな珍しい生物拾って来たんだよ?!」
「なんかね、川の向こうから来たんだよ」
「里長に会わせろーとか言って来たね」
「里長に?」
俺達には五月蝿くて仕方ない会話が頭上で行われる。
そして俺達の目的を口にした途端、男の巨人が怪訝な表情を浮かべ、俺達を睨むように見てきた。
「どう言った理由で、こんな所まで来たんだ、……人族とか言ったか?の小人共」
明らかな敵意、そしてブラファー達はともかく俺が人族だという認識、先程の言い直し。この3つで、少なくとも目の前の巨人が俺達をどう見ているかの目処が立ってしまった。
恐らく、スァールァドゥークとの1件の前か後かは不明だが、彼等は俺達のことを調べたようだ。
そして、スァールァドゥークとの1件故か、それともその他の要因かで、少なくとも俺達を警戒する程度には過去に何か手痛い想いをしたんだろう。
…………。
「アンタ達にとって外の世界が今滅び掛けててな、移住の話を持って来た」
俺も俺で思う所は有る。だが、一応話をするだけはする。それが俺の今の仕事だと思い、一旦は素直に話をすることにした。




