ノンデリ
猛るブラファーを鎮めてゆっくりと彼等に近付く。
俺の空中移動法的にゆっくり移動はかなり大変だが、構わずゆっくりと進んだ。
「巨人族と見える。タイタンと言うんだったか。話したいことが有る。アンタ達の長と会わせてほしい!」
可能な限り大声で言う。
俺達が羽虫の羽音を聴き取れるのは耳許で飛ばれた時だ。彼等にとって今の俺達は羽虫と変わらない。だから聴こえない可能性を考えての大声だったわけだが……、返ってきた反応は体を1回痙攣させこちらにゆっくりと視線を向けてきた。
「ねぇ、今の声ってもしかしてアレ?」
「聞いたこと無い声だし、そうじゃない?」
「私達と同じ言葉使ってるよ?」
「じゃあもしかして、さっきの私達の会話も……?」
「可能性は有ると思う……」
「え、でもさ、聴こえてたとしたらあんな友好的みたいな態度する?」
「……確かに?その可能性は有る?」
「じゃあアレ等って、もしかして馬鹿ってヤツ?」
「そうかも!あ、でも流石にこの会話も聴こえてるかも。じゃあ不味いんじゃない?」
「馬鹿なんでしょ?だったら大丈夫だよきっと!」
「じゃあ里に誘い込んで、そこで子供達の練習台にするってことで行く?」
「行っちゃおう!」
………………。
「まぁ落ち着けブラファー」
「儂は落ち着いているぞサース殿。そういうサース殿も落ち着かれた方が良いのでは?」
「アハハ、俺は最高に落ち着いてるぞ」
「お2人共、言葉と魔力が矛盾していますよ。お気持ちはよくわかりますが」
巨人族の女共のあまりにもな会話に、俺とブラファーはそれぞれの得物に馬鹿みたいに魔力を注いでいた。
反射的にではなく故意的にだ。
だがこれは、仕方ないように思う。流石に俺達を馬鹿にし過ぎだ。
俺の中で若干、巨人族達との関わり方が決まった。




