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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第十章:見切り
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スァールァドゥークの愛嬌


 やっぱりと言うか、案の定と言うか、スァールァドゥークの移動は俺達のことを考慮していない速度での移動だった。


 スァールァドゥークは元々狼などの犬系の獣だ。だからなのか、その移動も狼なんかが通るような道ばかり通り、進行方向に在る木などは枝へ飛び乗ったり木の根の隙間を通ったりなどして移動するため、かなり追い掛けにくい。

 ブラファー達はまだ飛べて俯瞰してスァールァドゥークを追えるから比較的余裕が有るように見えたが、俺の飛行手段も移動手段も言ってしまえば直線運動だ。だからスァールァドゥークの後ろを追っていたら、いつの間にか目の前からスァールァドゥークの姿が消えることが何度も有った。

 魔力を視る眼に切り替え、スァールァドゥークから教わった技術を使うことでなんとか追えたが、魔力を視る眼を使えてなければ今頃見失っていたことだろう。


 そうして移動すること半刻。もはや見慣れた造りの横穴の前でスァールァドゥークは止まった。



 「ここだよ」


 「案内ありがとうなスァールァドゥーク」


 「私と君の仲じゃないか、困った時はオタガイサマだよ」


 「……何処で覚えたんだ、そんな言葉?」


 「昔この辺まで来た私達のような人間達が言ってたかな。

 サースと話すことで記憶力ってヤツも強化されたみたいなんだよ。だから忘れてた昔のことなんかも思い出せるようになってきたんだ」



 「じゃあ私は巣に戻るね」と言い、スァールァドゥークは山頂の方へと帰って行った。


 どうやら今回はこれで満足したらしい。

 スァールァドゥークと交流するようになってから、俺はスァールァドゥークが満足するまで彼と話すことがある種の仕事のようになっていた。

 スァールァドゥークは元々獣で、彼と話せる生物は彼の周りには居ない。話し相手は俺だけのようで、俺との会話が楽しくて仕方ないらしい。

 だからなのかここへ来る度にスァールァドゥークが満足するまで話すんだが、もしかしたら今回はブラファー達が居たから引いてくれたのかもしれない。

 次会う機会が有れば、1泊ぐらいすることも視野に入れた方が良いのかもしれないな。


 スァールァドゥークが完全に見えなくなってから、俺達はダンジョンの中へと入り、魔方陣へと乗り転移した。



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