巨人族の居場所
スァールァドゥークのことを思えばブラファー夫妻をここで余生を過ごしてもらうという選択肢は無くなった。
だから、もう1つの用件を済ませることにする。
「スァールァドゥーク、お前がコイツ等に不信感を持ってるのはわかった。だから聞きたいことを聞いたらここを去ろうかと思うんだが、聞いても大丈夫か?」
「なんだ」
「巨人族ってわかるか?」
「キョジンゾク?」
「俺も詳しくは知らないんだが、たぶん俺達よりも何倍も大きい俺達みたいな人間の形をした奴等だ」
「キョジンゾク、キョジンゾク、キョジンゾク……。タイタン達のことか?」
「タイタン?」
「自分達をそう呼ぶ大きい奴等がこの山の地下に巣を作ってる。何度か食おうとして来たけど、逆に奴等の1匹を目の前で食ってやれば2度と仕掛けてくることはなかった脆弱な奴等だ」
「あぁ、そうなのか」
スァールァドゥークのおかげで何処に居るかとかわかって良かったんだが……、スァールァドゥークの説明でまた1つ問題が起きそうな予感がする。
スァールァドゥークの口振り的に彼がここの主になった頃かそれより更に前の話の可能性が出てきた。つまりまだこの山の地下に居るかはわからないということだ。
ほぼ確実に巨人族はダンジョンに住んでることが確定した。だが、未だに現存しているダンジョンなのか、それとも既に潰れているのか、それとも別の場所へ移り住んだのか。そういう問題も出てきた。
「一応入口の場所を教えてくれないか?」
「別に良いぞ。サースの頼みだ」
取り敢えず、まずはその場所に行くのが今の最善手だろう。
ブラファー夫妻を睨むスァールァドゥークを宥めつつ、俺達はスァールァドゥークの案内で大山の裏の麓へと移動した。




