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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第三章:亀裂
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「行ってみるか」


 見なくてもわかるほどに後ろから迫る黒の速度が上がった。なんなら圧まで感じられる。

 後ろを振り返り黒との距離を確認すれば、およそ400メートルほどで、速度はおよそ冒険者や騎士や兵士ではない一般男性の走った程度の速度だった。


 これまでの黒の様子から速度や圧の関係性が気になり、自分の首を絞めるとわかりつつもここで俺は1つの実験を行う事にした。

 見方によればただの不法投棄と変わらないが、黒の速度アップや圧の具合を計算出来るならより楽にこの先を進めるだろうと思っての事だ。


 しかしちょうど良いものが見つからなかったため、次の脇道で回収することに決めた。



 そうして走って体感3時間、ようやく次の途切れた道が視界に入った。

 黒との距離は大きく離れて、計算的にはここに辿り着くまでには4時間が掛かる場所だった。


 そこで出てきたのは1匹だけならEランクだが、集団となると一気にSランクにまで危険度が跳ね上がるディザスマウスが10匹だった。

 コイツは1匹なら子供が素手で捕まえて玩具にする程度には弱い魔物だ。しかしいざ数が揃えばそれは厄災と変わらないほどに有害な魔物だ。昔アカバ王国の一部の街がこのディザスマウスによって落ちたという逸話が有るほどの災厄だ。

 10匹はちょうどSランクの冒険者が1人で相手してギリギリ殲滅して生き残るぐらいのレベルだった。


 ディザスマウスの厄介な所はその大きさとその雑食性だ。コイツ等は布だろうが金属だろうが、当然肉だろうがその肉が同族であろうがとにかく何でも食べる。同じディザス種に分類されるディザスローカストは飛んで移動するため奴等と比べればマシだが、奴等と同じくその結果は変わらない。


 しかし重さもだいたい1キロと今俺が欲しているものとしてはちょうど良かった。

 それに今の俺の自己評価はSランクだ。黒との距離の事もあり時間掛けてでもコイツ等を無視せず狩るのは十分な理由だった。


 俺に向かって10匹のディザスマウス達が地を駆け俺の肉を喰らおうと迫る。それをウォーターウォールと呼ばれる水の壁を発生させる魔法で道を塞ぐ。

 そこにディザスマウスが何も考えず突っ込み水の壁の中を藻掻きながらも進んでくる。それを魔力操作で1つの水球にして固めて、縦横無尽に走る速度と同じ速度で水球を振り回す。そして魔力操作で1匹ずつ頭を出して1匹ずつ首に短剣を突き刺して絞めた。


 この通路という場所と魔法属性の相性と数で難なく、呆気なく処理できた。



 「完全に相性だな」



 呟きつつ、時間を掛けてでもと思いつつすぐに終わった戦闘に拍子抜けだった。

 しかし調子に乗る訳にはいかないことも自覚していたため、すぐに気を引き締め直す。



 「…………」



 立ち止まりディザスマウスが来た道を見る。

 これまで3つの道を無視して走ってきた。黒との距離も有る。



 「行ってみるか」



 だから試しに脇道の先に行ってみる事にした。



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