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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第三章:亀裂
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「悪いな!」


 1秒以下の世界に求められる2つの選択肢。

 そこに襲い来る5頭のアーマーエイプ。内1頭は弓を、内1頭は杖のような物を持っていた。明らかに遠距離を得意とする得物だ。

 このまま直進すれば後ろから射たれるのは確実だろう。

 これに加えて、恐らくアーマーエイプもこの黒に呑み込まれる。そして速度は上がることだろう。


 まさに究極の選択。

 そんな中俺が選んだのは直進することだった。


 今の俺にとってアーマーエイプは剣の一断ちで処理出来る。だからこのままアーマーエイプ全てを処理して奴等が現れた道へと逸れることも考えたが、アーマーエイプ達の死骸のことを考えて、もし逸れた先が行き止まりだったら?もし行き止まりから今の道へと帰って来れなかったら?そう考えた時、少なくとも道が見えている今の道の方が生存率が高いと判断したからだった。



 「悪いな!」



 だから俺は、弓と杖を持ったアーマーエイプだけを身体強化で強化した身体能力を使って処理し、その死骸を捨て置いて距離を稼いだ。


 黒との距離をある程度開け、身体強化を解いて走りながら後ろを見れば、ちょうど黒がアーマーエイプ達の許へ到着したところだった。

 案の定俺の処理したアーマーエイプを含めて現れた全ての魔物が黒へと呑み込まれる。そして呑み込む度に黒の進む速度は著しく上がった。

 俺が石を投げ入れた時の速度が足腰の弱い老人の歩みほどの速度だったとしよう。今は10にも満たない子供の歩く速度ぐらいだ。

 黒との距離はだいたい200メートルぐらい有る。このまま俺が走り、黒が速度を変えなければ余裕を持って黒と距離を一定以上保つことが出来るだろう。


 しかしそれは、次の途切れた道が近付いたことで叶わない甘い考えで希望的感想だと証明される。



 今度の途切れた道は2つだった。その2つが合流し、道と道が繋がったと同時に2種類の魔物がそれぞれ4体ずつ現れた。


 片方はプルレグモンキーで、もう片方はスネークスコーピオンだった。


 プルレグモンキーは1頭だけならDランクの雑魚魔物だが、今のように複数居たり他の種と一緒に居ればその厄介さとウザさは留まるところが無い。


 スネークスコーピオンについてもそうだ。普通のスコーピオン種の尻尾の部分が蛇になっていて、蛇の頭に噛み付かれればそこから毒が体内へと入り込み、更にはその蛇の口の中からスコーピオン種の尾の先が飛び出て傷口を更に抉ってそこからも毒を吐き出すという凶悪なAランクの魔物だ。

 スネークスコーピオンの厄介な所は、この毒がそれぞれ違う点だ。蛇の口からは毒の霧を吐き出したり毒の唾を飛ばすような攻撃をしてくるため近接戦闘が得意な者には辛い相手だ。この毒は神経系の麻痺毒で、少しでも吸ったり当たれば一瞬で身動きが取れなくなる。なんなら中にはそのまま心臓が正常に鼓動を打たなくなって止まり、死ぬ奴も居る。

 そしてスコーピオンの方の毒は強力な筋性系の毒で、しかも心臓にだけ作用するとかいう極悪な毒だ。


 改めて言おう。このダンジョンはとにかく厭らしい。

 プルレグモンキー4頭にスネークスコーピオン4頭など本当に殺しに来てる。


 悩んでいる暇は無い。

 俺は投擲用のナイフを取り出し、その剣心にブイドエクステンションを走りながら魔力を思い切り込めた物を掛け、奴等が避けるのに苦労しそうな高さを目標に、横回転しながら飛ぶようにナイフを投げる。


 俺が投げたナイフは見事プルレグモンキー3頭の胸から上と1頭の尻尾、スネークスコーピオン4頭の蛇の尻尾を全て切断した。


 ここまで無力化すればコイツ等は恐くない。

 俺に抱き付こうとしてくるプルレグモンキーの額に走りながら短剣を突き刺し、迫る8つの鋏は身体強化した体で大きく跳び越え奴等を置き去りにした。



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