「何処でその名前を?」
子供達に別れを告げてオリジュラと共に村長宅へ。
着くとすぐに奥へと通され、村長の居る部屋へと案内された。
「どうもサース殿」
「どうも村長さん」
村長はブラファーと言い、人族の俺でもとても整った顔の竜人族だとわかる爺さんだ。
この爺さんとの会話はとても楽だ。必要なことだけを話せば良いからな。
「用件は?」
「大きなことだけで言えば、魔王からの移住の打診だ。ブラファーさんの知ってる全ての竜人族は魔界に移住する気はないかって話を持ってきた」
「移住の打診……。何故そのような事態になった?」
「人族と獣人族とエルフ族、この人界で人間と呼び合いその他の種族は魔族と言って排除する奴等が本格的に奴等以外の人間を滅ぼそうと動くかもしれないからだ」
「……そうなった経緯は?」
「詳しい説明は長くなるから敢えて省くが、魔王の判断でこの世界の寿命が残り2年みたいだ。2年後、最悪の結果になればこの世界は1人の女に破壊される」
「…………なんと言ったか。そう、マリアとかいう女だな?」
その名前が出てきたことに内心驚いた。まさか彼がその名前を知っているとは思いもしなかった。
「何処でその名前を?」
「お隠れになられたラウム様がかつて、まだ私が広場で遊ぶ子供達のように幼かった頃にその名前を口にされてな。何故かその名前に寒気を覚えるからよく覚えていたのだ」
「ラズマリアは魔王の妹だ。天界を半壊させた罰で封印されていたらしい。そいつが今、潜在能力は人類最強の男の体を乗っ取った。これを放っておくとこの世界は奴の玩具箱になるか、最悪破壊される」
「そういうことか。その破壊が開始されるまでに2年の猶予が有り、その猶予が過ぎればこの世界が滅びる可能性が有る。だからその前にということか」
頷くことで返事をすると、ブラファーは腕を組んで目を瞑った。
どうするか考えているのだろう。
「急かすようで悪いが、俺は他にもこの世界に居るらしいドワーフ族って奴等や巨人族って奴等にも話をしに行かないとならない。だから俺が今こうして滞在している間に答えを出して欲しい。それ以降は俺も魔王も手を伸ばしてやれない」
「……そうか。相わかった。しばし思考する故待っていただきたい。どれほどの猶予を貰えるだろうか?」
「一晩泊めてもらえれば明日の朝までは待てる」
「……部屋を用意させる。それまでは自由に過ごされよ」
「わかった」




