「ダンジョン?」
第三章開始です。
寒さに震え身を寄せ会う冬を過ぎ、徐々に雪が溶け春の暖かさを感じたのか冬眠していたであろう動物達を見掛けることが増えてきたこの頃、相も変わらず俺は魔王に連れられ人界の格上相当の魔物と戦ったり魔界の魔物と戦ったり魔界の住人である魔族達と戦ったりしていた。
今の俺の強さは、恐らくSランク相当だろう。人界ではSランクであるキラーホーンラビット、コイツを今の俺は余裕で殺れるようになった。キラーホーンラビットとばかり戦っているから慣れたのだろうと言われるかもしれないが、他の人界ではSランク相当の魔物も難なく狩れていると言えばその実力が特化したものではなくちゃんとした地力に基づいた強さだと言えるだろう。
実際人界側でいつの間にかSSランクになっていた魔王の依頼で何度も何度もSランクの魔物と戦ったが、コイツ等についても難なく狩れるぐらいまで強くなった。
だから今の俺の強さはSランクと言っても過言ではないだろう。
ではギルドのランクはというと、何故か一向に上がる気配が無い。
毎度種別を問わず相応の依頼を請けては達成し、たまにギルド員まで連れてCランクやBランクを狩ることもここ2ヶ月ほどで何度も有った。なのにも関わらず一向にギルドランクアップの話が来ない。
気になってギルド職員に聞いてみれば、何故か俺のギルドへの貢献度が足りないと言われた。
傷や体力を回復するポーションに魔力を回復するポーションまで卸してる俺に対して、だ。
流石に色々と陰謀論のような物を思い付いてしまうが、それを詰めるより魔王に連れられ色々な魔物や魔族と戦う方が有意義であり確実に強くなれるため、その事は横に置いておいた。
そんないつもと同じ生活をしていた際、魔王からこんなことを言われた。
「サースの実力もそろそろ安心出来る物になってきたし、今日からはダンジョン行って実力を磨こうか」
「ダンジョン?」
初めて聞く言葉だった。口振り的に何か強くなるための施設のようなものだと想像出来たが、具体的なイメージは湧かなかった。
それを知ってか知らずか、俺が聞き返したことで魔王がダンジョンとは何かを語ってくれた。
「ダンジョンって言うのは一言で言えば超大型の魔物だ。その体内に金銀財宝物珍しい何かしらの能力を持った武器や道具、それに魔物を用意してそれを餌に外から人間や魔物や動物をその体内へと入れて殺そうとする毒にも薬にもなる大型の魔物だ。
そうだな、サースには限定的とはいえ天族の創造と破壊属性に似た力を使うことの出来る生物と言った方が伝わりやすいかな?」
魔王の説明を聞き、自分の中で『ダンジョン』がどういう物かを改めてイメージする。
魔王の説明だけを聞いてパッと思い浮かぶのは山のように大きな生物が常時口を開けて獲物が入って来るのを待ち、入ったと同時に口を閉じて咀嚼する。そんな姿だ。
他には創造と破壊と言っていたし、一種の箱庭のような場所だろうか。箱庭であれば好きに物を作ることも破壊することも出来る。
このイメージをそのまま魔王に伝えれば、パチパチと拍手し正解と言われた。
「そう、まさにサースがイメージした物そのままだ。だけどその姿は別に山のように大きくなくても良いし、そもそも決まった形も無いんだ。
サースのイメージした通り、もしかしたら大きな魔物の口の中がダンジョンの入口になってるかもしれないし、もしかしたらサースの寮の部屋の扉がダンジョンに繋がってるかもしれない。
ダンジョンは異空間に近いかな。それも成長する異空間。成長するから生物なんだよダンジョンというのは」
魔王の捕捉説明でより一層訳がわからなくなった。
魔王の口振り的に、これ以上のことも知ってそうだが、同時にこれ以上今は話す気が無いであろうこともそのカオを見て察した。
これ以上ダンジョンという物を判断するために必要な情報は無い。なら、だ。
「取り敢えずそれだけ言うならすぐに連れて行ってくれ。実際にそのダンジョンってヤツを体感してから考える事にする」
「もちろん最初からそのつもりさ。だからサース、寮長に外泊の届出を出しておいで。今からの時間じゃまず碌な探索も出来ないだろうからさ」
魔王に言われ、即座に頷き俺は寮の自室へ転移した。




