追想
第九章を書き終え、感傷に浸りながら静かに筆を置く。
正直未だにあの時マー君の居る魔界に定住することを選んだことが間違いだったのではと思うことは有る。
やっぱり俺は何処まで行っても人界の人間だ。人界で強かろうと、魔界でも上から数えた方が早くとも、魔界の住人より肉体的に優れているかは別問題だ。そしてこの肉体的な差は、戦闘訓練も何もしていない普通の魔族の子供の身体能力と人界の平均的なギルドランクCとほとんど同じだったりする。
当然戦えばギルドランクCの方が勝つ。単純にそれはギルドランクCに到るまでの経験の差が有るから。
でも、だからこそこの種族的な肉体的な差を思うと彼等と一緒に居て良いのかと考えてしまう。
だからと言って、あのまま人界に残って何が出来たのかと問われれば何も言い返せない。でも絶対に、魔界に定住するって決断が間違いだったとは決して思わないし思えないけど。
さて、じゃあ、次は何を書こうかな。
これまでの一章毎に掛かる時間を思えば、約束の2年まで残り5ヶ月も有るから書けないことはない。だけど、残り3ヶ月は最終調整に時間を費やしたいから、それを思うと悠長に書くことも出来ない。
……まぁ、次は俺が魔界に定住する選択をするに至ったことを書けば良いか。
今回書き上げた第九章時点ではまだ定住するまでの覚悟は持ってない。じゃあなんで定住すると決めたのか、それを次の第十章やその次の第十一章で書き上げようかな。第十章を前編後編に分けるのも有りか。
第十二章はもう決まってる。この日記という名の自伝の時間を現実の俺に追い付かせて、最終決戦とも言えるラズマリアとの最後の戦い直前まで書き上げる。そしてラズマリアとの戦いの決着やその後については、もちろん俺のその時の状態も有るだろうけど、最悪マー君に書いてもらおう。
なんなら俺よりも客観的な視点が入るから、より物語調に出来るかもしれない。
まぁ、販売先なんて無いから、あくまで後世にこれを読むであろう学者とかに届けばって物だけど。
残り5ヶ月……か。書いてて改めて思ったけど、時間が経つのってこんなに早く足りないもんなんだな。
これにて第九章:人類の敵が終了となります。
ここまでお付き合いいただき誠にありがとうございます。
この後いくつかの幕間を挟み、その後第十章の更新とさせていただきます。
遂に念願が叶いフォルティスと戦えたのも束の間、結局満足の行く結果にならず、己は人類の敵という烙印を押されたサース。
彼の中で既に今の人類は1度リセットしなければならないものだ。そこに優劣は存在しない。
それでもやはり、楽しかった日々だけは色褪せない。色褪せないからこそ、あの日々を手に入れる為に己の人生を賭けるのだ。
今後とも拙作『魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺』の応援を言葉にせずともしていただけると嬉しいです。
それではまた!




