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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第九章:人類の敵
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「さぁ、どうだろうな」


 魔王の登場により先程までの合唱は何処へやら、完全に黙り込み、中には震えている者まで居た。



 「撤退って、それほど手が付けられないのか?」


 「手は付けれる。でもそれをするとこの人界を1度創り直さないとならない。だから完全にアレを止めるにはアレが完成するのを待たないとならない」


 「完成って?」


 「君の幼馴染みを乗っ取ったあの愚妹を完全に消すには、アレが完全に体を手に入れる必要が有る」


 「どれだけ掛かる?」


 「2年ぐらいかな。少なくとも絶対に1年半は掛かる。調整に更に半年から1年。だから逆に言えば2年は人界は保つ」


 「じゃあそうしよう。それで、今奴は?」


 「取り敢えず1週間は目覚めないように封印したかな。封印したのはここの人間達の安全確保に1週間も有れば逃げるだけなら出来るだろうって判断。

 あの馬鹿、本当に1度癇癪起こすと世界や世界の仕組みにまで当たり散らかすから修復が大変なんだよ。今もよりによって転移の機能の一部を破壊しやがった。おかげで人界へ転移する時の座標が固定化されてしまった。


 やっぱりあの時、しっかり処理しておけ」

 「愚痴は後で聞いてやるから、今は他にすることが有るだろ」


 「それもそうだね」



 言って、俺達は周りを見る。民衆はもちろん、帝の2人までもが生まれたての赤子のように震え、身動ぎ1つしようとしない。

 それでも帝の2人だけは構えるぐらいはしたが、そこから動けるかどうかは見ればわかった。今の2人なら、何の戦闘訓練もしていない子供でも倒せそうだ。


 民衆の中に、レオポルド達、学園で過ごす上で多少なりとも関わりの有った奴等の姿が目に入った。

 やはり震えてはいたが、それでも何故か、彼等だけはその震えに抗おうとしているように見えた。


 その中でも一際震えてはいる癖に、俺達の前まで歩いて来た奴が居た。

 名前はそう、



 「ウィリアム・パリス」


 「……これだけ聞きたいサース・ハザード。お前は今もまだ人類に愛想が尽きていないか?」



 その言葉に大きく目を開いたのを自覚した。

 まさか奴から、その言葉が出て来るとは。


 この大勢の前で、魔王の居る前に発言したんだ、俺の意思を他の奴等に聞かせるのが目的なんだろうが、それにしてもまさかコイツが動くとは思いもしなかった。


 だからその質問に答える前に、本当に聞かせないとならないことだけを全人類に通達されるように言葉を発する。



 「人類よ、お前達は今、岐路に立たされている。

 人類が滅ぶか、それとも生き残るかの岐路だ。


 滅ぼす奴の名前はラズマリア。総帝フォルティス・サクリフィスの体を乗っ取り自分の都合の悪いものは悉く破壊して無かったことにするクソガキだ。

 そのクソガキが今癇癪を起こしてこの人界を壊そうとしてる。


 止めれるのは俺の隣に居るコイツや天界の住人だけだ。

 そして完全に止めるには約2年の月日が掛かる。


 だから人類の皆はその2年間をどうにかして生き残れ。

 今ここでこうして俺達が話した内容さえも奴に破壊され忘れてしまうかもしれないが、それでも良い。なんなら俺を諸悪の根源と扱いたいならそう扱っても良い。だから必ずこの後の2年間を生き残れ。


 今伝えられるのはそれだけだ」



 気を利かせて魔王が風魔法で俺の声をここに居る全員に届けてくれた。もしかしたらこの世界全ての人類に向けて声を届けてくれたのかもしれない。そう思わせるほどの魔力を魔王から感じた。


 言うべきことを伝えた上で、ウィリアム・パリスの目を見る。

 そして先程の回答に、俺は、「さぁ、どうだろうな」とだけ答えて、逃げるように廃城へと転移した。



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