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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第九章:人類の敵
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「…………大事な部分はソコか?」


 状況的にもどうなったのかは察しがついた。

 だが、だからどうした。クソ野郎が対俺に対してどういう奴なのかは重々理解してる。


 だからゆっくりと手を上げ、その手で俺を掴もうとしているソイツに、俺は、散々種を蒔いて結局使わなかった手を行使する。



 「テメーはお呼びじゃねぇんだよラズマリア」



 名前を口にした瞬間、辛うじて影が見えるほどの速さで手が近付いて来た。

 咄嗟に距離を取ろうと間にトラトトを差し込もうとした瞬間、手と俺との間に背中が現れた。



 「こうなったら今のサースには何も出来ないよ」



 背中が語り掛けて来る。

 言葉の通り、発動しようとした魔法は奴の体に届く寸前に破壊された。大量の魔力による破壊でも破壊属性による破壊でもない、もっと根本的な破壊だ。


 俺を庇うように現れた背中には鴉を思わせる漆黒の翼と大鷲を思わせる純白の翼が4枚ずつ生えており、ヤギを思わせる角が生えていた。服装は官職の正装を思わせる整った物で、右が白、左が黒。


 明らかに見たことない容姿だがその声を俺が聞き間違える筈もなく、また助けられたことを理解しつつ、その背中に静かにトラトトを差し出す。



 「使うか?」


 「敢えて明言するけど邪魔かな」


 「……下がるわ」


 「ごめんね。でももう人界だけで収まる問題じゃなくなったんだ」


 「……ごめん」


 「まぁこうなるってわかってたから気にしないで。最初から許容出来なかったらさっさと止めてた」


 「……ごめん」



 もう1度謝り、俺は静かに帝達の許へ向かう。

 初めて見たが、恐らくアレこそが魔王の本気の姿なんだろう。声で誰かはわかったが、何も感じな過ぎて理解が追い付かなかった。


 魔王が現れたことで最初に事態の認識が追い付いたであろう炎帝が慌てた様子で向かってくる。


 その後ろ、フードを被っており素顔は見えない筈だが、土帝と水帝の2人からは明確な敵意の目を向けられながら近寄ってきた炎帝に手短に要望を伝える。



 「避難を。俺達人間がどうにか出来る範疇を越えた」


 「わかった」



 炎帝は即座に動いてくれた。すぐに観客席に居る奴等へこの場から離れるように声を大にしながら、観客席に居る奴等を出口の方へ誘導していく。混雑したりこちらに近付けないよう炎の壁で道を作って。


 炎帝と入れ換わるように魔力を体から垂れ流しながらこちらへやって来た土帝と水帝が、土帝は俺の胸倉を掴んで、水帝はいくつも水球を浮遊させながら怒鳴る。



 「おいガキ!テメーやっぱり魔族の手先だったのか!?」


 「彼は君の師匠、よね?あの姿は何?答え次第では貴方にはここで死んでもらうわ」


 「…………大事な部分はソコか?」


 「はぁ?なんの話だ!」


 「大事な部分はアイツが魔族かどうか、俺が魔族と繋がりが有るか、そんな些事かって言ったんだよ。


 なぁ、この状況を見て話すことは本当にソレなのか?

 見てわからないのか?ここまで何もして来なかった奴が急に現れて、明らかに足止めしているこの状況を見て問い質すことがソレなのか?」


 「……テメーの言いたいことはよくわかった。その上でハッキリ言ってやる」



 そう言って、岩を纏った拳に頬を殴られる。

 防ぐことも避けることも出来たが、答えを聞くのに時間を無駄にすると思ったから甘んじて受け入れた。


 だが、すぐにそれを後悔することになった。



 「魔族と魔族と繋がりが有る奴は百害あって一利なしだ。例外は無い。最近総帝の様子がおかしいのも、総魔力量が小さなガキ並みかそれ以下のお前が俺達帝に何故善戦出来るのかも、あの明らかな魔族と繋がりが有るとなればそれは全部奴とお前のせいだ。それで説明がつく。


 もう1度聞くぞサース・ハザード。キサマは人間の敵か?それとも味方か?」



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