表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第九章:人類の敵
460/689

卒業試験:VS総帝Ⅴ


 奴の首を後ろから圧迫しながら、空いた手でこれだけ激しく動いたのに一向に中が見えなかったフードに手を掛ける。


 どうやらフードの内側に薄い鉄の板が入っていて、フードはそれに添うように縫い付けられていた。要は鉄のフルフェイスヘルムを被ってたってことだ。これがフードが取れなかった理由のようだ。


 水を発生させて首を切らないようにその鉄仕込みのフードの内側に水を通して、鉄板だけを水を加速させて削り切る。


 削り切れる前に、俺は、敢えてこの場に居る全員に聴こえるように生い立ちを話すことにした。



 「俺には一般的に『家族』と呼べる者は居なかった。当然この世に生まれた訳だから血の繋がった親に当たる奴等は居るが、ソイツ等も生まれた村の周りの奴等も、俺と同い年のとある男にご執心だった。


 俺が言葉を話し始めた時に褒められた記憶は無い。だが近くに住んでいたソイツは反応1つする度に村全体で大喜びだった。


 俺が読み書きを覚えてもむしろ遅いと親含め周囲の奴等に怒られたが、ソイツが言葉を喋っただけで村の奴等は我が事のように喜んだ。


 俺が魔法を覚えるのに苦戦していたら、ソイツは「なんだ簡単だ」とか抜かして俺が1000回やって出来なかったことを1回で成功させやがった。


 何をするにもソイツと比べられ、何を言っても俺の言葉は誰からも相手にされなくて、食事もマトモに与えてもらえず、やること全ての成功は全てソイツの手柄になった。


 だから俺は次第に、ソイツを越えることを目標に生きてきた。


 大人になってからソイツを倒しても時間が掛かれば掛かるだけ俺が勝っても周りは認めないだろうと考えた。だから俺は学生の間にソイツを越えることを目標に生きてきた。


 中等部の時、それまでの人生と比べればとても充実した生活を送っていた。

 気付けばソイツは1番近くの街に在る学校にも来なくなったし、俺の作ったポーションは高値で売れた。

 そうした充実した日々の中、世間では新たな総帝が現れたと話題になった。


 最初は気にしていなかったが、ある日、久し振りにソイツが俺の家を訪ねてきた。

 正直存在を忘れるほど充実していたから、まぁ話しぐらいなら聞いてやるかと思い部屋に上げたが、それが間違いだった。


 ソイツは俺に言ったんだ。自分が総帝だと。


 敢えてその時の俺の感情は語らないが、それでソイツへの恨みや妬みは憎悪へ変わった。


 そのクソ腹立つクソ野郎の名前はフォルティス・サクリフィス。

 俺の宿敵とも言える殺したいほど腹の立つソイツはつまり、コイツだ!!」



 語りに合わせて敢えて遅く切っていた。

 だから言い切るのと同時に切断されたフード付きフルフェイスヘルムを取ってやれば、衆目に総帝フォルティス・サクリフィスの顔が曝け出された。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ