▼side Another act3:ごめんなさいⅢ
転移した直後、弓を引いた同族達に囲まれるナディア。その正面、全裸の彼等の王であるトネリコのリコが前に出てきた。
「ハァイ私の娘。私の次の器。貴女の帰りを待っていたわ。その子が贄ね?」
「……ただいま戻りましたリコ様。贄ではございません。伝えた通り、エリクサーを求めて来た私の人界の友人です」
「貴女の交友関係なんて知らないわぁ。だってソレ、私に関係無いもの。それより、雄っていうのが良いわね。しかも若い。とっっっても楽しめそう」
そう言って恍惚としただらしない笑みを浮かべたリコはサースの残った四肢を地面でもある樹を操ることで捥いだ。
そして弓を引いていたエルフ達にこの世界の中心と呼べる部屋まで運ぶよう指示すると、樹の中へと同化するように沈んでいく。
それを見て、ナディアは一縷の望みをと思い、リコへと1つの忠告をした。
「リコ様。1つ、彼を拘束するのならお耳に入れておかなければならないことがございます」
ナディアの言葉に耳の上まで沈んでいた頭を少しだけ持ち上げ生首状態で「何かしら?」と問い返す。
「彼は、どうやら天魔の魔王様と縁が有る者のようです。それも、話を聞く限りでは指輪が現れるほど仲が深いご様子です」
その言葉に生首の眉が吊り上がった。
だがすぐに嘲笑するような笑みを浮かべ、「それがどうしたの?例え彼が攻めて来たところで、彼如きが私をどうにか出来る訳ないじゃなぁい」と述べて完全に生首を樹へと同化させた。
その場にはナディアだけが残される。
四肢を捥がれたサースを運んで行った同族達、これから身動き取れないサースにやりたい放題するのだろう世界の王に言葉に出来ない悔しさを募らせる。
「ごめんなさい」。そう溢したナディアの声を聴いた者は、誰も居なかった。




