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▼side Another act3:ごめんなさいⅡ
今回ナディアがサースをエルフの郷に連れて行くのも当然その条件が適用されるため飲ませた訳だが、ナディア本人はその事をとても気にしていた。
ナディアの中でサース・ハザードという少年は良くも悪くも思春期の子供だという認識だ。
聞く限りでも相当な努力を積んでいる人物だという認識は確かに有り、強さへの貪欲さは狂人そのものだがその芯の強さは本物だと思っている。
反対に、だからこそ周りを見下すような態度が度々見え隠れするし、突かれたくない所を突いたら拗ねるような論破して愉悦に浸りたそうな、そんな風に見えていた。
本当に良くも悪くも思春期の子供。そう写るからこそ、そんな子供に自分達の都合を押し付けることがナディア的には個人的に許せないことだった。しかし彼の願いを思えば彼に強いるしかない。
相反する主義に板挟みにされ精神を磨り減らしながら、ナディアはサースの体に触れてエルフの郷へ転移した。




