▼side Another act2:恋する乙女は止まれないⅡ
時を同じくして、サース達がエルフの郷から退去した後、未だリコから生命力を吸われて目が覚めない他のエルフ達の面倒を見ていたナディア。
彼女は他のエルフ達の面倒を見つつも、サースが目覚めてからの一連の流れを思い出していた。
「怖かったな……」
思わず溢れた自分の言葉に、内心「でも」と続けそうになったが、ナディアは頭を振って続こうとした言葉を頭の中から掻き消した。
「(何考えてる私?!相手は10数年しか生きてない子供なのよ!!?)」
しかし自身の言動や行動を改めて振り返ってみると、完全にサースのことが好きで堪らないただの女だったと気付き、より一層羞恥心が彼女の心を満たした。
「(なんなの、何が「俺と思い出作りをしようってことか」「正解」よ!恋する乙女じゃないんだからもっと言い様有ったでしょ!?というか他の言い方って何?!あー!もぉー!何より腹立つのは、なんで彼あんなに冷静なのよ!本当に10代の人族の子供?!あの歳の人族の男の子ならもっと性欲に忠実でも良いでしょ!なんで私を襲って来なかった……ってほらまたぁ!)」
まだ気付いていないが、ナディアの内心が荒れればそれに呼応してエルフの郷の居住区以外の場所の被害が凄いことになっているのだが、その事を彼女が知るのはサースが亡くなったずっと後の話だったりする。
「(もう、良いわ!たぶんこの想いは止められないだろうから!だったらとことん攻めてやろうじゃない!!)」
恋は盲目とはよく言ったものである。




