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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第八章:世界の王
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▼side Another act1:魔王様は焦れったいⅡ


 そんな中、サースが自身の治める魔界に身を置くようになってからのこと。サースから相談が有った。



 「なぁマー君、相談したいことが有るんだけど今良い?」



 最近にしては珍しくもない親友からの相談事とはなんだろうと思いつつ、魔王は「良いよ」と即答した。



 「いやぁ、その、ほら、マー君ってイギライアと付き合って……るよな?」


 「……ん?うん、そうだね。え、もしかして」



 予想していなかった分野の相談事に、最初は脳が理解を一瞬拒否したが魔王はすぐに親友の相談事の全容を把握して困惑した。困惑したし、若干の嬉しさも覚えたが、同時に相手もある程度予測は付いたが、だからこそ「何故?」という疑問が湧いた。


 これまで散々自分がくっ付けようとしても全くそういうことに興味を示さなかった親友が、ここに来て急に興味を持ち始めた事に戸惑いを隠せずにいた。


 サースもサースでそんな親友の反応を理解しているのか苦笑いを浮かべるが、それはそれとしてと続きを話す。



 「まぁマー君が困惑するのもわかるんだけどさ、個人的に色々思うことが有ってさ」


 「思うことって?」


 「それが相談事なんだけど──」



 親友からのその相談内容に、魔王は呆れと若干の怒りを隠そうともせずチベットスナギツネのような目を向ける。


 サースの相談事は「来る決戦で勝つためには大切な物が多い方が良いと思う」ということ、「その為にナディア・ガレリアという女性からの想いに応えるのも有りなんじゃないか」ということ、「でもその想いを利用するように応えるのは良くないことなんじゃないか」ということ、「俺はどうしたら良いんだろう」という、小学生の恋愛のようなことを言ったのだった。


 よもや、ヘタをすれば自分よりも頭が良いだろう親友が、そんな馬鹿馬鹿しいことで悩んでいることが酷く滑稽に見えて仕方がなかった。

 このまま聞かなかった事にして、また2人きりの空間に閉じ込めてやろうかとすら考えた。


 しかしそれでは意味が無いと逸る気持ちを落ち着かせ、魔王はゆっくりと親友の肩に手を置いた。



 「過去一下らない悩みだね!」


 「酷くね?!俺からすればめちゃくちゃ真剣な悩みなんだけど!!?」



 そこから2人の長くは続かない取っ組み合いの喧嘩が始まった。



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