ガレリアからのラブコール
目を覚ますと明け方だった。
腕は戻っていたし、普段以上に体の調子が頗る良かった。
目を覚ました場所は学園の寮の自室のベッドの上で、ベッドの横の机の上には手紙が2通有った。
1枚は魔王からの物で、もう片方はガレリアからの物だった。
魔王の方は、俺が目を覚ますのは卒業式の3日前頃らしい。遅くなっても確実に卒業式には間に合うと書いてあった。何を確信して間に合うと書いたのかは定かじゃないが、彼が断言するなら卒業式までに数日の猶予は有りそうだ。
ガレリアからの手紙は、大きく分けて3つのことが書いてあった。1つはラズマリアの件が片付くまでは自分も人界に行けるということ。1つはズマリアの件が片付く前に俺に『魔女の瞳』を譲りたいということ。もう1つは正式に薬学の弟子にならないかということだった。
1つ目はまだ彼女がこの世界に来れるということだから素直に良かったなという気持ちだった。
ただ2つ目と3つ目は素直に頭を縦に振れそうになかった。あの店は異世界から訪れた彼女が築き上げた彼女の城と言っても良い。それを受け継ぐというのは、なんだか悪い気がした。
弟子についてもそうだが、こちらは彼女との薬学の話をした時に得た物を思うとこれ以上彼女から学べることが少なそうだったため、弟子入りする意味が有るのかと思ってしまったためだ。
いずれにせよ、どうやら俺は相当ガレリアに気に入られたらしい。
ラズマリアのことが片付いた後がどうなるかはわからないが、この件はその時が来るまで保留で良いだろう。
…………。
数日後、俺はアイツとまた戦う。
願わくば、純粋にアイツと戦いたい。ラズマリアとかいう外野に体を乗っ取られているなよ、フォルティス・サクリフィス。
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