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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第八章:世界の王
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未来の憂い


 「その、強請ったのは俺だが、よくそんな簡単に自分の腕を斬り落とそうと思えたな」


 「たぶん貴方は散々やって来てるんじゃないの?それに、最初にエリクサーの作り方を教えた時にわかったんだけど、どうやら今の私って痛みを感じないみたいなのよ」



 言いながら彼女はセスフンボスへと木を操って斬り落としたばかりの右腕を入れた。そして瞬き1つ置いた後にはその腕は元の状態に戻っていた。



 「……エリクサーは使わなくて良いのか」


 「どうやらそうみたい。リコ様が怪我をする所なんて見たことないから正確にはわからないけど、たぶんこの世界の王の本体はこの木だから、分体としてのこの体は怪我とか人間的な危険に鈍いんじゃないかしら」


 「本体が木だから、それに世界と呼べるほどの規模だから、例え本体である木を傷付けられてもガレリアは痛みを感じない体になったと?」


 「もちろん精神的抵抗は有るわよ。それに体に傷が付けば痛いとも思う。でもそれは実際の痛みではなくて、私という存在がこれまでの人生で得た経験に基付いての条件反射なんだと思う」



 ふと、ガレリアのその推測を聞いて、あの売女エルフが何故そういう系に走ったのかを想像してしまった。

 それと同時に、もしかしたら目の前の女もアレと同じ路を歩むのかもと思うと、少し哀しさを覚えた。


 あくまで推測だが、あの売女エルフも元はガレリアみたいな感じだったんじゃないだろうか。

 長い年月が、痛みを感じないというその身体的特性が、彼女から『刺激』を奪ったんじゃないだろうか。


 実際そういう欲や触覚が有るのかはわからないが、だから彼女は唯一感じることが出来たであろう性的快楽を求めたんじゃないだろうか。そう思うと、少し、未だ燻っていた火種の火力が収まった。



 「なぁガレリア」


 「何かしら、そんな改まって」


 「もしも今後、長い年月の中で、リコサマ、だったか?アイツみたいに性的快楽を求めるようになった時は、せめて拉致なんてことはせずにちゃんと説明した上で連れて来るようにな」


 「…………頑張るわね」



 目を見開いたことで俺の意図が伝わったらしく、彼女は軟らかい笑みを浮かべながらそう答えた。

 それを見て、尚のことこれから創ろうとしている物を成功という形で完成させたいと思い、俺は俺で彼女が入れたのとは反対の左腕を水で斬り落としてセスフンボスの中へと入れた。



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