「概ねそんな感じだ」
「腕1本って、君ね……」
「別に腕じゃなくても良いんだ。要はガレリアの肉体の一部が欲しいってことなんだよ」
「説明されても情緒が追い付かないのよ……」
「今はもうエルフの郷の王なんだよな?なら最悪この世界を形作ってるこの木の一部でも良い。まぁその場合はよりこの世界に欠かせない部分の一部が必要だが」
「ねぇサース、君は何を創ろうとしているんだい?」
両肩に手を置かれて向き合うように魔王が俺達の会話を止めた。
目を見れば疑念というか不信感の色が見える。
自分の言動を振り返ってみれば魔王にこうやって詰められても仕方がないと思うぐらいには頭のおかしい要求をしていた。
ガレリアを見てみたら彼女も彼女で困惑しているようだった。
「悪い、目的ばかりに意識が行ってて他を気にしてなかった。順を追って説明する」
ナイフで手を斬り付けてセスフンボスに自分の血を流しながら何を創ろうとしているかを話す。
「この世界は慢性的に男日照りだそうだ。つまり他からの種の供給方法が無いって訳だ。だからその問題を解決してやろうかと思ってな」
「…………ホムンクルス製造機でも創ろうとしてる?」
「そのホムンクルスってのが何かわからないが、あの売女エルフは落とした俺の四肢を保管していた。俺の四肢に残っていた栄養を吸い付くして自身の栄養にしていたのか、新たなエルフを生み出すための養分にしていたのかはわからないが、もしかしたら種じゃなくても他者の情報が有れば問題解決するんじゃないかって推測してな」
「ホムンクルスじゃなくてクローンの方か。だとしても、いやぁ、マッドだねぇ」
「…………そのほむんくるすとかくろーんとかまっどとか言うのが何かわからないが、そういうことだ。
だからガレリアかこの世界の情報が欲しいんだ」
「……サースやそこの……ガレリアだっけ、彼女にもわかる言葉で言えば、要はサースは半永久的に遺伝子……他者の情報に困らない装置を創ろうとしているんだね。
彼女の情報が要るのはサースだけの情報だとやってることがこの世界のやり方と変わらないから。
違う者同士の情報が交わる。そういう概念が欲しいから子孫繁栄として必要な男女それぞれの情報が欲しいということだね」
「概ねそんな感じだ」
「魔術についてもそうだけど、本当サースの頭ってどうなってるんだい?変態が過ぎるよ」
「誰が変態だ。そういう訳だガレリア、お前の情報が欲しい。出来ればかなり重要度の高い物が」
「……腕や脚であれば、エリクサーで回復出来るから実際困ることはない。世界の一部を望むのはこの世界の概念と自分の情報を混ぜたいから……。
良いよ、わかった。あんなに成りたくなかった世界の王になっちゃったんだもん、責務は最低限果たさないと」
そう言うとガレリアは木で腕を拘束し、過呼吸気味に深呼吸したあと、肉を引き千切るような音を立てながら腕を風の魔法で斬り落とした。




