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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第八章:世界の王
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「流石魔王、話がわかるな」


 「なんだいサース、今見てわかる通り忙しいんだけど?」


 「それを少しの間待ってほしいんだ。あとセスフンボスを出してくれ」



 俺の言葉と共に、魔王は肘辺りまで入っていた左腕を手首の辺りまで抜いた。



 「一応聞くね、なんで?」


 「前々から考えてることが有って、それの試験の為にこの状況を使いたい」


 「……何をするつもりだい?」


 「一言で言えば斬る、かな」


 「ふぅーん……。何を創ろうとしているかは知らないけど、良いよ、わかった。アンガルミアやエルフ達が居る前でって言うのが何より気に喰わないけど、サースの思い通りにやれば良いよ」


 「流石魔王、話がわかるな」


 「俺とサースの仲だから許したけど、本当にこれは危険な物だから気を付けるように」


 「わかってる」



 そう言って出された久し振りのセスフンボスの蓋の縁をなぞり、ガレリアへと視線を向ける。


 彼女はもはや骨と皮だけのような状態だった。しかしまだ生きているようで、まだ間に合いそうだった。



 「魔王、このエルフの郷には四肢欠損復活の薬が有るんだよな?」


 「有るよ」


 「それさえ聞ければ十分だ」



 俺はまず指輪に仕舞ってある俺の落とされた四肢全てをセスフンボスの中へと投入する。

 そして次に指輪と宝物庫を指から取って口の中に仕舞ったあと、今在る自分の四肢全てに水を纏わせ、1つ深呼吸したあとに水圧を上げて左腕、左脚、右脚、右腕の順に関節から上を基点に圧迫して捥ぎり落とした。



 「おい人間、キサマ何をしている?!!」



 魔王にアンガルミアと呼ばれた天族の女が剣呑なカオで怒鳴ってくる。それを一瞥だけして無視し、止血したあと水を操って落とした四肢全てをセスフンボスの中へと入れた。


 あと必要そうな物は……器か。

 魔王に読ませてもらった本の中には、『優れた職人が魂籠めて作った物には魂が宿る』とか『古い物には人の念が乗りやすく魂が宿る』なんて記述が有った。

 今欲しい物を思えば刃物の方が良いだろう。そして俺の持ってる物の中で1番年代が古いものと言えば……、


 魔王から貰った指輪の穴に舌を入れて無理矢理身に付けた状態にして、指輪から1本の短剣を取り出す。


 物は安いが、なんだかんだ俺がギルドで働き始めて初めて買った解体用の短剣だ。金に余裕が出来てからは記念として持ってるだけだったが、使うならここ以外に舞台を用意してやれないだろう。


 思い出の短剣をセスフンボスに入れ、蓋を閉める。


 そして祈る。魂と魂に繋がる何かの繋がりを斬る、『縁断ち』が出来るような、そんな短剣を。


 俺から際限無くセスフンボスは魔力を吸っていく。

 なんとも不思議な話だが、状況としてはガレリアの今の状況と似ていることだろう。


 吸われ続け、魔力で出来た水の四肢の形がブレる。それを根性で回復した魔力と魔力操作で形を維持しつつセスフンボスの要求に応え続ける。



 「毎度お前はじゃじゃ馬だなセスフンボス!」



 もう何度目かになるセスフンボスとの主導権の取り合い。

 セスフンボスは魔力を全て寄越せ生命力すら寄越せと俺から魔力を吸う。対して俺は、俺の言うことを聞け俺が主だとセスフンボスにどちらが上かを魔力を送ることで説き続ける。


 周りを気遣う余裕は無い。しかし今此処に在る生命がこれ以上失われないだろうことはなんとなくだが気配でわかった。


 そのままセスフンボスとの闘いは続き、そして最後には、まるで降参したかのように、はたまた満足したのか「また遊ぼうぜ」とでも言うかのようにセスフンボスはその蓋を開けた。


 中に入っていたのは、刀身の中央に水晶かダイヤモンドのような透明な何かが埋め込まれた短剣だった。



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