「木?」
「何処に向かってるんだ?」
ガレリアの後ろを着いて歩きながら隣を歩く魔王に聞く。
「魔界の王は俺だよね」
「そうだな」
「じゃあ天界の王は誰だと思う?」
「……此処の王って想像出来ないんだが?」
「一言で言えば木だね」
「木」
「そう木。なんなら既に俺達は彼女の中に居るよ」
「…………」
言われて足許を見る。そして上を見て横を見て魔王を見る。
「木?」
「それぞれの世界の王は、それぞれの世界の象徴とも言える部分が魔法の属性として顕れる。そしてその眷族達は必然的に世界の王の影響を受けるから世界の王の属性と同じ属性を獲るんだよ」
「……じゃあ何か、天界の王は光を象徴する存在で、人界は……。人界は?」
「人界に関してはまた話がややこしくなって来るから今は説明を省くけど、だからエルフの郷のエルフは木属性を使えるんだよ」
「つまりエルフの郷ってのは測るのもめんどくさいほど大きな木の中に存在している世界で、今俺達はその中心部に向かってるってことか」
「そういうことだね」
「つまり俺が目を覚ました部屋は」
「たぶん彼女と最も近い部屋だったんじゃないかな。木から魔力を吸うなんて芸当、彼女ぐらいしか出来ないだろうし」




