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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第八章:世界の王
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幻覚からの目覚め


 気が付くと俺は天井を見上げるような状態で寝ていた。



 「あら、起きちゃった」



 知らない全裸のエルフが俺の上に乗って体を揺らしている。

 邪魔だと右腕を動かし退かそうとしたが、腕が動かなかった。


 首を傾け右腕を見れば、肘上から先が無かった。ちょうど左腕と対になるような状態だ。


 次に脚を動かそうとした。しかしこちらもマトモに動かせた感覚が無い。上に乗るエルフが邪魔で視認は出来ないが、感覚的に膝上から下が無いのだろう。


 首にも違和感が有る。首を動かし感覚的に調べてみれば、恐らく首輪が嵌まっているのだろう。しかもその首輪から魔力が吸い続けられる感覚も有るため、徹底的に男を逃がさないようにしているのだろう。



 「貴方はこれから一生私達の種馬。貴方は何も考えず、私達に全てのお世話をされるの。換わりに貴方は私達に種を渡すの。


 貴方は何も考えなくて良いの。ただ快楽に溺れればそれで」

 「口臭ぇよ」



 俺の上で、俺に覆い被さって今にもキスしそうな距離で色々言っている女の首に水の刃を突き刺して殺し、産み出した水の腕で首輪を力技で千切り、腹筋の力で起き上がる。


 見渡せば先程見た部屋の景色と変わらなかった。違いが有るとすれば、普通に扉が在り、そして俺は四肢と絆の指輪と宝物庫を持っていないということだ。


 いつかのダンジョンで経験した幻覚の可能性。それに行き着いたからこそ目覚めることが出来た。腕が治っていたのも、ガレリア含めエルフ達が喋らなかったのもそれなら納得だ。


 そもそも幻覚は魔力抵抗が低い者にほど掛かりやすく、魔力抵抗が高い者ほど掛かりにくい。

 魔力抵抗とは保有総魔力量のことであり、魔力操作のことであり、魔力循環のことだ。この3つの総評のことを魔力抵抗と呼び、要するに総魔力量が多い者ほどあまり気にも止めない魔力に対する抵抗力のことだ。

 エルフの郷のエルフはどうやらご丁寧にこの総魔力量を魔力を吸い上げる首輪を用いることで魔力抵抗を下げ、四肢を潰すことで逃げられなくする。そして漂う香りや靄の掛かったような煙を充満させている。恐らくこれには媚薬成分が一杯入っているのだろう、自己主張のし過ぎでやはり痛い。こういう手口で今まで男を喰って来たのだろう。

 幻覚の世界でも思ったが、本当にエルフっていう人間かよ。ゴブリンやオークの間違いだろ。


 そもそも何故魔力を吸われ続けて水の腕を出せたかと言えば、吸われる量や勢いより俺の魔力回復速度の方が圧倒的に早かった。だから吸われていない分を魔力操作で安定させて水の腕を作り殺した。

 俺だったから最悪の事態は防げそうだが、やり口が手慣れ過ぎているのと酷いとしか言えない。だからこそこの落とし前はしっかりと付けさせてもらう。


 媚薬などの成分を『奥の手』で無効化。無効化した時に気付いたが、いつの間にか絆の指輪はいつの間にか絆の首輪として首に嵌まっていた。


 宝物庫も指輪も無いため服を着れない。

 仕方がないため、それにもう、恐らく今更だろうから、そのまま部屋から出ることにした。



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