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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第八章:世界の王
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「最終警告だ。指輪を返せ」


殴り破った勢いそのまま天井のその先へと上がり着地すると、周りには全裸のエルフの女が何人も居た。

 その中にはガレリアの姿も在ったが、彼女とその近くに居たエルフの中でも高齢と思われるエルフだけは服を着ていた。


 この部屋も先程の監禁部屋と同じ造りだったが、有るのは椅子や机といった家具だけで調度品のような物は一切無かった。



 「説明を、求める」



 威嚇で魔力を漏らしながら言えば、エルフ達はこちらへ手を向けて来る。その手に合わせて壁や床や天井から針のように木が伸びて俺を突き刺そうとしてきた。

 その全てを魔力を纏わせた拳で殴り潰し、次が来るまでの僅かな隙間を通すように水の針を飛ばしてエルフ1人1人を攻撃する。


 痛みに慣れていないのだろう、攻撃を受けたエルフ達はたかが水の針が体を貫通させた程度でその場に跪いて悶え、その数が増えるほど木の杭による猛攻は無くなって行った。


 最後に立っているのは俺とガレリアとその隣に居る高齢と思われるエルフのみ。服を着た者しか無事な者は居なかった。



 「それで、説明をする気は有るか?」


 「…………」


 「話す気が無いのなら良い。金輪際エルフの郷のエルフとは一切関わらないだけだからな。


 目的も達したし、実際こうやって腕が元通りになったってことはそれを成す何かが有るのは確定だ。本当はその方法と、もしそれがポーションの類いならレシピも欲しかったがここにはもう用は無い。帰らせてもらう」



 改めて部屋を見渡し、魔王から貰った指輪と服を捜す。

 そしてすぐに見付けた。高齢だろうエルフの指に嵌まっていた。



 「その指輪、返してもらおうか。それは俺の親友からの贈り物なんだ」



 近くまで寄り、手の平を上にして相手に見せる。

 しかしそのエルフは俺のことを見つめるだけで何も反応しなかった。


 怪訝に思っていると、何やら頭痛がし始める。

 痛む頭で可能性を考え、出た結論が事実かどうかを確認するために身体強化の能率を上げる。そうすると頭痛はすぐに治まった。



 「やってくれたな」



 魔力を目へと回し、魔力を視る眼へと変えて世界を見れば、目の前のエルフが何をしようとしていたのか、仮説が確定した。

 だから左手でソイツの首を掴み、指輪の嵌まる奴の左手の手首を掴んだ。



 「最終警告だ。指輪を返せ」



 復活した左腕に力を徐々に加えながら高齢エルフの首を絞め上げる。

 そこまでしてようやく気付いたが、あまりにも周りが静かだった。


 ガレリアすら声を出さない。

 違和感を認識すれば、すぐに様々な可能性が頭の中に浮かび上がる。

 1つ1つ浮かんだ可能性がどの程度現実的かを検討し、そして最後に残った可能性が1番可能性が高いと判断した俺は、自分で自分の頭に水の極太の針を突き刺した。



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