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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第七章:魔人創造
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▼side Another act4:「逃ガサナイワヨ?」


 「お疲れ様。もう下がって良いよ」


 「私が出よう」


 「それはそっちで解決しておいて」


 「残る帝が我々4人しか居ないんだ、みんな倒れないようにしよう」


 「無理はしないようにね。もしもタスクオーバーしてるなら、言ってくれれば私が対応するから」



 炎帝と水帝と土帝の3人は、最近の総帝の様子がおかし過ぎて不気味に思っていた。


 最初は雰囲気どころか一人称まで変わって、訝しみ、しかしそれがローブを纏っているだけだったため総帝としての自覚が出て来たのかと喜んだ。


 だがそれが何ヵ月も続き、プライベートで会ったとしても総帝としてのフォルティスと同じ雰囲気や態度、知らない言葉を知っていて当然のように使う、こちらを気遣っているように見せて自分の都合でやりたい放題を繰り返すとなれば、流石に怪しく不気味に思わずにはいられなかった。


 その日の報告会を終わり、総帝が退出したのを確認してから炎帝、水帝、土帝の3人は会議室に残り総帝の様子について話し始めた。



 「どう思う?」


 「やっぱりおかしいだろ。アレはフォルティス・サクリフィスじゃないだろ」


 「私も同意見。特にここ3ヶ月ほどの彼は明らかに元の彼と比べたら別人」


 「何が有ったか考えられるか?」


 「もし水帝の言ったここ3ヶ月に焦点を当てるなら、やっぱり奴だろ」


 「……サース君、ね。サース君自身もそうだけど、フォルティスもなんで彼に対してだけはあんなにムキになるのかしらね」


 「前総帝の言う通りなら、フォルティスは必ず彼より自分の方が優れていると前総帝に自慢していたらしいよな。その頃のフォルティスはまだ出会った当初の彼のままだった。


 つまりフォルティスは、元からサース君に少なからず劣等感を持っていたんだろうさ」


 「劣等感を持っていたって根拠は?」


 「何かにつけて自分の方が優れていると自慢していたってことは、何が何でもサース君を下に見たい、自分の方が彼より上だと主張したいってことだろ。


 普通、好意的な相手や興味の無い相手にはそんな態度は取らない。取る場合は意図的かその相手に何かしらの劣等感を抱いてる時だ」


 「言いたいことはわかった。確かに炎帝の言うことも一理有る。


 だが、じゃあ何故フォルティスのガキはあんなに変わった?」


 「それが何故かを考えるために俺達はこうして話しているんだろ」


 「話が横道に逸れそうよ。


 仮にサース君が原因だったとして、じゃあ次は何が考えられるかしら?」


 「フォルティスのガキが前と変わった外の所と言えば……俺達の呼び方とかか?」


 「そう言えば前はローブを纏っていようと本名で呼ぼうとしていたわよね」


 「でも今はプライベートで会っても反応は無し。どの帝か名乗った時だけ俺達を認識する。明らかに俺達の事が記憶に残ってないな」


 「記憶に残ってないと言えば確かにそうだ。ローブを纏っているから俺達が帝だと認識しているみたいだが、ローブを纏っていてもまるで会う度に「初めまして」をしているみたいだ」


 「他に変わった所と言えば、破壊属性の魔法を使うことが────」



 その後も彼等の会議は続いた。

 しかしこの会議を終えたあと、翌日には彼等の記憶にはこの会議を行ったことすら覚えてなかった。



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