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▼side Another act1:その頃の学園の生徒達Ⅹ
「ねぇサース、君の後輩2人が今正に死にそうだけど、助けに行かなくて良いの?」
散々扱かれ死んだように廃城の謁見の間の床にて寝転がるサースへとそう声を掛ける魔王。
場所はサースの隣。サースの頬や脇腹など彼の体を突いている。その表情は心なしか楽しそうで穏やかだ。
「後輩2人?あぁ、ラークとグリーラか」
「それだけ?助けに行かなくて良いの?」
「何故俺が助ける必要が有るんだ?アイツ等は冒険者だ。全部自己責任。そもそもアイツ等が今何処に居るのかも知らないし、仮に近くに居たとしても死ぬような無理をしたのはアイツ等の自業自得だ。
たまたま近くに誰か居て助かるなんて虫の良い話、そんなのは作り話の中だけで充分だ」
「……そう。サースが良いなら良いんだ。要らないお節介を言ったね」
「気にしてない。それを聞いて助けに行かないと判断したのは俺だし、仮に助けに行くと言っても今の状態じゃどうせ間に合わない。アイツ等の死はどうすることも出来ないものだった。ただそれだけの話だ」
「そうだね」
そう返した魔王のカオは、哀しそうなものだった。




