▼side Another act1:その頃の学園の生徒達Ⅸ
2人の声はこれから死ぬかもしれないというのに意外と明るく晴れやかなものだった。
それだけやりきったということなのか、それとも開き直ったのか。
いずれにせよ満足したような声色だった。
「こんなことならもっと早くに告白しとけば良かった」
「なんだイリア、好きな男でも居たのか?相手はサースさん辺りか」
「確かにあの人は強いけど、でも誰よりも孤独な人よ。例え想いを伝えたとしても絶対フラれるってわかりきってる相手。結果のわかる相手を想い続けるなんて私には無理よ」
「そういうもんか」
「そういうものよ。貴方はどうなのよ。何かやっておけばって思うことはないの?」
「俺か?俺なー。1回で良いから女とヤりたかったな!」
「こんな時に……。最低ね」
「むしろ今だからこそだろ。あーぁ、金なんか渋らず娼館にでも言ってりゃ良かったよ」
「お金が理由で行かなかったの?」
「あー、いや、たぶん、お金が有っても行かなかったかもな」
「それはどうして」
「ガキ臭いと思うけど、せめてハジメテは好きになった女とが良かったんだよ」
「あら、意外とエギルって乙女なのね」
「るせぇよ」
2人が会話している間、2人の様子を観察していた魔物達が再び彼等に近付き始める。
先程のような反撃が来ないと判断したのだろう。
「いよいよだな」
「そうね」
「思えば腹減って生き倒れてた奴を助けた結果こんな最期になるとは思いもしなかったな」
「それは学園に入る前の話でしょ。忘れてよ」
「おかげで学園生活は楽しくて仕方なかったぜ」
「……そ。それなら良かったわ」
「…………」
「…………」
1拍。
「ねぇエギル」
「なんだ」
「好きよ」
「そうか。俺もだよ」
「そう」
「おう」
こうして年若い冒険者2人は命を落とした。
一言だけ。
2人の生存ルートは存在しています。




