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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第二章:違和感
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考える。


 「ハザード君、何故無警戒で近付いた?」



 周囲を警戒しつつチャーラルにそう切り出された。

 襲撃が有っても良いように他の奴等も明確にこっちを見たりはしないが、そうだとか頷きとかそういう形でチャーラルに同意しているようだったためこの話にちゃんと意識は割いているのだろう。


 そして、この話し合いのキッカケを作った俺はというと、そもそも何故彼等がそこまで俺を責めてるのがわからなかった。

 いや、言いたいことはわかる。わかるが、それにしても鬼気迫った様子過ぎるんだ。


 考える。


 考えて、1つの可能性に辿り着いた。



 「あー、もしかして、俺が催眠術とかそういう系に掛かって操られてるとか考えたのか?」



 どうやら当たりだったらしい、チャーラルの目が大きく見開かれた。


 それを見て俺は俺の考えを述べる。



 「心配有難いんだが、少なくとも俺はあの中から俺達と同じ言語を使う生物が居ることを確認した。あぁもしかしたらスネークコングじゃなくて人間の言葉を喋って惑わし襲うそんな魔物の巣なのかもしれない。


 だけどもしかしたら、何かに襲われてここに連れて来られた奴が居るかもしれない。


 これはあくまで確認だが、お前等あの玄関みたいな所を開けたと同時に魔法をぶち込む気だっただろ。それじゃあ救える命も救えないぞ」



 尤もらしいことを言ってみる。

 特に理由は無い。ただそう言いたくなっただけだ。


 しかし、まぁ理想論を口にしたのはわかっていたが、それにしては苛烈に、しかも酷く冷たくこう返された。



 「仮に君の言う通り例えあの中に人間が居たとしても、なんで僕達が危険を侵してまで助けなきゃならないんだ?僕達も君の言う襲われて連れて来られた者達の二の舞になる可能性が有るだろう。その事は考えなかったのか?」



 今度は俺が目を見開く番だった。

 その冷たい言動に対してではない。自分達の安全優先の発言でもない。況してや弱気な発言にでもない。


 明確な自分達以外への排他的思想が見えたから怖気が走り驚いた。


 この場合は選民思想というのか、はたまたもっと広義な意味での差別や区別とでも言うのか。

 なんにせよ少なくともチャーラルの中では中に居る奴等は守ったり救ったりする対象ではないらしい。しかも他の3人についてもどうやら雰囲気的にチャーラル側のようだ。

 その事に、甘いのは自分なのかとかガキなのは自分なのかとか一瞬で色々悩んだ。


 悩んだが、最終的には彼等に対して軽率な行動を取ったことを謝り、当初の予定通り中に居るであろう魔物を討伐することにした。




 少なくとも俺の胸に凝りを残しながら。



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