▼side Another act1:その頃の学園の生徒達Ⅱ
料理が運ばれ、完食し食休みの雑談もある程度出来たところで、ストゥムから本題が語られ始めた。
「さて、さっきも少し触れたけど、今回こうして君達を呼んだのはサースのことなんだ」
「サースのこととのことですが、彼が王子様方に何か粗相をされたのでしょうか?」
「あぁ、そういう話じゃないんだ。ここには彼の友人として居てね。
去年彼はあの合同依頼で色々有ってね、個人的に僕達が今回の合同依頼後の彼が心配でね。どんな感じだったか聞きたいんだよ」
「色々って、具体的に聞いても大丈夫でしょうか」
「色々は色々だね。話しても良いんだけど、話すことで彼の立場が悪くなるようなことになるなら友人として言いたくは無いかな」
「そうですか……」
ガラギスは何を話すべきか、何を話さないべきか、逡巡した。
そうして口を開こうとした時、その前にウィリアムが口を開いた。
「奴は今回の依頼でも傲慢だったぞ」
「傲慢とは?」
「そのままの意味だ。奴は基本的に俺様達を見ていない。なのに強いから自然と相手を見下す。それなのに己を弱い立場の人間だという体を取る。そんな奴の本質と呼べそうな部分が全面に出ていた依頼だったさ」
「……具体的には?」
これまで本題の話が始まってから口を閉ざしていたレオポルドが口を挟む。
それに刺激されてか元からそのつもりだったのか、言われなくともとばかりに意気揚々とウィリアムが続きを話し始めた。
語られた内容はあの合同依頼で何が有ったのかということと、サースへの不満、サースの悪口と大半がウィリアムのサースへの敵意に満ちていたが、ストゥムは語られた内容から凡その内容を把握し、その整理がついたところで大きく溜め息を吐いてこめかみを指で押さえた。
「彼は、本当に何処まで……」
ストゥムの様子と言葉にガラギスは眉を寄せた。
訝しみつつガラギスがどういうことかと聞けば、レオポルドが「サースは独りになろうとしている」と漏らした。
この言葉にガラギスも、ついでに興味無さそうにしながら話の内容はしっかり聞いていたウィリアムは内心納得した。
ちょうど自分達もサースについて合同依頼の帰りに話していたからだ。
だからこそガラギスは余計によくわからなくなった。
そのことが彼等にどう関係しているのかと。




